米大統領選は投票から5日目にしてようやく、民主党ジョー・バイデン前副大統領(77)が勝利宣言した。
【写真】メラニア夫人がトランプ氏に敗北受け入れ進言か
しかし、共和党の現職ドナルド・トランプ大統領(74)は「選挙はまだ終わってない」とし、法廷闘争を続ける意向。8日(日本時間9日)までに親族が敗北を認めるよう説得しているとの報道も出たが、メラニア夫人(50)が夫と同じ主張をツイートするなど陣営は否定した。どう決着するのか、敗北を絶対に認めないトランプ氏の狙い、動向に注目が集まっている。
◇ ◇ ◇
トランプ大統領は7日、ゴルフ中に「バイデン当確」情報を聞いたが、公の場には姿をみせず、8日もゴルフを楽しんだ。しかしこの間も「大統領選挙はまだ終わっていない。バイデン氏はどの州でも勝利が確定しているわけではない」「月曜日(現地時間9日)から正当な勝者を決めるため、訴訟手続きを始める」と声明を発表。ツイッターでも「私はこの選挙に大勝した」「一体いつからメディアが大統領を決めるようになったのか」「盗まれた選挙だ」など一方的に主張し、法廷闘争を続ける姿勢を強調した。
CNNなど一部メディアは、複数の情報源の話として、メラニア夫人や娘婿のクシュナー上級顧問らが、トランプ氏に敗北を認めるよう説得しているなどと報道した。共和党側からも、バイデン氏を祝福する声が上がっている。しかし、メラニア夫人は報道後に「違法な票を除き、合法な票を集計すべき」などトランプ氏同様の主張をツイート。陣営幹部も「報道は事実でない。クシュナー氏は大統領に法的手続きをとるようアドバイスしている」などと投稿。結果に抗議する集会の開催を計画しているとの情報もある。
トランプ陣営は、ペンシルベニア、ミシガンなどで提訴し退けられたが、今後も各地で法的措置を取る見通しで、ウィスコンシン、ジョージア、ペンシルベニアなどで再集計の可能性もある。
今回、各州の選挙結果確定の期限は12月8日。同14日に選挙人が投票。1月初めの連邦議会で正式に承認される。しかし、トランプ氏が激戦州などで時間稼ぎすれば、再集計や法廷闘争が長期化する。期限までに結果を確定できない州が出たり、選挙人を指名できなかったりして、過半数獲得の候補がいないなどの異例の展開になった場合、1月の下院の投票で決めることになる。票は50州に1票ずつ割り当てられ、26票獲得で当選する仕組み。下院全体では民主党が多数派だが、州単位では共和党が多数派の州が多く、今回の選挙でもこの状態が続けば、予断を許さない。ただ米国内ではその事態まで進む可能性は薄いと見られているという。
トランプ氏はまた、脱税、事業の巨額の負債、地位を利用した不正、ロシア疑惑なども指摘され、民間人になれば刑事訴追の可能性もあるとされる。今後の動向から目が離せない。