米大統領選でジョー・バイデン前副大統領の勝利が確実となり、熊本県の「じょう・ばいでん」と話題の梅田穣(ゆたか)・山都(やまと)町長(73)が9日、毎日新聞のインタビューに応じた。名前を音読みにすると同じとネットで脚光を浴び、祝福の電話が鳴りやまない毎日が続いていると驚く。だが、実はこれまで名前の字は好きではなかったという。【聞き手・清水晃平】
【インタビューに答える梅田穣町長】
――名前の音読みが「じょう・ばいでん」だと気付いたきっかけは。
◆6日の朝食の時間に長男の妻から「インターネットでとても盛り上がっている」と聞いた。米大統領選挙にバイデン氏が出ていることは当然知っていて、いつまでも選挙が終わらないなと思いながら毎日関心を持って見ていた。
――ネットで名前が注目されていると知ってどう思ったか。
◆初めは「いろんな読み方があるんだな」ぐらいにしか思っていなかった。初対面で名前の「穣」を「ゆたか」と読めた人は何千人と会ってきた中でも1人いたぐらい。「じょう」「みのる」「ゆずる」と読まれることが多かった。
――知人からの反応は。
◆8、9日は電話がなりやまず家にいられないぐらいだった。携帯電話だけで30件ぐらい着信があった。みんな一様に「びっくりした」という反応。「全国的に名が売れたばい」と喜んでくれる知人もいた。
――「ジョー」という読みにつながる「穣」にはどんな由来があるのか。
◆私が農家の長男ということで「みのり」とも読むし五穀豊穣(ほうじょう)を願って父がつけた。はっきり言って今日まで親を恨んでいた。誰にも読んでもらえないし、正確には旧字の「穰」だから書くのがとても難しい。「おやじはなんて漢字を使ったんだ」と思っていたが、たまたまこんなに注目を集めることになってしまった。
――バイデン氏は77歳、町長は73歳で年齢も近い。
◆親近感はある。私は町長就任から4年目になるが、自分でも70歳近くで町長になるとは思っていなかった。勝利宣言した集会に走って出てきたバイデン氏をテレビで見て、知人からは「あんたももうちょっと頑張りなさい」とも言われた。同世代の大先輩を見て、私もまだまだ頑張らないといけないと思った。
――バイデン氏に伝えたいことはあるか。
◆バイデン氏は選挙戦の中で「アメリカは一つ」というキャッチフレーズをずっと使っていたのが印象的だった。二分された超大国の米国をまとめることが、バイデン氏ならできるのではないかと期待している。
――今回の「バイデンつながり」を町づくりに生かしていく考えは。
◆なかなか難しいが、職員や町民からアイデアをもらいたい。私の名前ではなくて、山都町が日本全国に知ってもらえる良い機会だと思う。コロナ禍が早く終わって多くの方々が訪れるような町にしないといけない。