
ぷかぷかと波に合わせて揺れたかと思えば、思い立ったようにくるくると体を回転させ、前足を忙しく動かして毛繕いを始める。
こんな野生のラッコの姿を、年間通して観察できる希少な場所が日本にある。北海道東部、浜中町の霧多布岬だ。日本の水族館では消滅の危機となっているという背景もあり、観光業界などでは歓迎の声が上がっている。(共同通信=大日方航)
「ほら、あそこだよ」。岬周辺のラッコの写真集を出した片岡義広さん(72)は、望遠鏡をのぞき込み声を弾ませた。波間に頭を出して漂っていたラッコは、ほどなくして岩陰に姿を消した。
ラッコはイタチ科の哺乳類で、千島列島から米国沿岸に生息する。良質な毛皮を持つため乱獲され、20世紀初めに日本からは姿を消したと考えられていた。
片岡さんは北方領土のラッコが生息域を広げ、浜中町で目撃されるようになったと推測する。札幌から浜中町に引っ越した1985年に、初めてラッコを見掛けた。