【ワシントン時事】トランプ米大統領は9日、エスパー国防長官を解任したと発表した。
軍の政治利用などをめぐってトランプ氏と意見が対立し、確執が深まっていた。トランプ政権下では、マティス国防長官とシャナハン国防長官代行に続き、3人目の国防トップの退任となる。来年1月の新政権発足までの間、国防長官が不在となれば、安全保障に影響が及ぶと懸念する声も上がっている。
トランプ氏は「エスパー氏を解任した。彼の奉仕に感謝したい」とツイッターに投稿。国防長官代行として、国家テロ対策センターのクリストファー・ミラー所長を任命したと表明した。
エスパー氏は国防総省職員に宛てた書簡で、職員や将兵らに謝意を表明。その上で「統合軍の即応性や能力、プロ意識を向上させた一方、米軍を根本的に変革し、将来への備えを充実させた」と実績を強調した。
エスパー氏はトランプ氏の意に沿わない言動を慎重に避けていた。ただ、夏に全米各地で人種差別への抗議デモが暴動に発展した際、治安維持目的で連邦軍動員を可能にする反乱法の発動を「支持しない」と明言。軍を動員してデモ隊を「制圧」すると宣言していたトランプ氏に真っ向から反対した。