韓国政府の高位外交・安保ラインが米国と日本を訪問し、停滞していた対米・対日外交に動き始めた。指導者の交代時期に生じるおそれがある外交の空白を埋め、関係回復に向けた政治的なきっかけを見いだすという意図があるという分析だ。しかし防衛費分担金問題や強制徴用賠償判決のイシューが複雑に絡んでいて、突破口を開くには相当な期間がかかるという見方が出ている。
康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は9日(現地時間)、米ワシントンでポンペオ米国務長官に会った。外交部は、両長官が強固な韓米同盟を基礎に韓米関係の発展と韓半島(朝鮮半島)平和プロセスの進展のために努力を続けていくという意見で一致した、と説明した。米国務省は「インド太平洋地域の平和と安全保障のリンチピン(linchpin・核心軸)である韓米同盟の持続的な力と重要性を再確認した」と明らかにした。
両長官の会談は9カ月ぶりだったが、時期と方式の面で論議を呼んだ。康長官はバイデン氏の大統領当選が確定してから一日も経たないうちに米国に向けて出国した。次期政権と韓米関係を調整すべき時期に、まもなく交代する国務長官と会談をしたのだ。外交に詳しい趙太庸(チョ・テヨン)国民の力議員は「外交部長官が選挙が終わって数日も経っていない時期に現国務長官と当選者側の双方に会うのは、共和党・民主党ともに不快に思うかもしれない」と指摘した。
8日から日本を訪問中の朴智元(パク・ジウォン)国家情報院長は10日、菅義偉首相に会った。朴院長は菅首相を表敬訪問した後、記者らに対し「日帝強制徴用被害者問題について十分な対話をした」と明らかにした。続いて「菅首相に文在寅(ムン・ジェイン)大統領のあいさつと韓日関係改善の意思を伝え、北朝鮮問題に関する意見を聴いた」とし「韓日両首脳が問題解決の必要性に共感しただけに、対話を進めればうまくいくのではないかと考える」と述べた。また「文大統領の親書は持っていない」と伝えた。
朴院長は年末にソウルで開催する予定の韓日中首脳会談と北朝鮮の日本人拉致問題について菅首相と意見を交わしたと伝えた。菅首相が首脳会談に出席する意思を表したかどうかを尋ねる質問には答えなかった。
外交関係者の間では、朴院長の訪日で韓日関係の突破口を開くのは容易でないという見方が出ている。菅首相は韓日中首脳会談に関連し、韓国が大法院(最高裁)判決で差し押さえられた日本企業の資産を売却しないと約束してこそ訪韓が可能という立場を韓国政府に通知したことがある。
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