赤ちゃん突然死 財布に思い出のガーゼ 夫妻、悲しみにどう向き合えば


赤ちゃん突然死 財布に思い出のガーゼ 夫妻、悲しみにどう向き合えば

 元気だった赤ちゃんが、眠っている間に亡くなってしまうことがある。乳幼児突然死症候群(SIDS)という原因不明の病。生後間もない愛息を失った広島市内の夫妻が、編集局に悲痛な声を寄せた。突然、子どもを亡くした家族の悲しみは深い。周囲を含め、その悲しみにどう向き合えばいいのだろう。今月は厚生労働省が定めるSIDS対策強化月間。夫妻を訪ね、思いを聞いた。

 声を寄せてくれたのは中区の長尾崇義(たかよし)さん(28)夫妻。案内された自宅リビングには、目をぱっちりと開けた愛らしい男児の遺影が飾られていた。8月下旬、生後41日で急逝した次男の優真(ゆうしん)ちゃん。長尾さんは「睡眠中に突然…。今も気持ちの整理がつかない」と声を絞り出した。

 新型コロナウイルスの影響で出産に立ち会えず、優真ちゃんに会えたのは退院した日だった。1日50グラムのペースですくすく大きくなり「抱っこするたびに成長を実感した」。夫妻が量や時刻を小まめに書き込んだ手作りの授乳表は枚数を重ねていった。そんな日々に突然、別れが訪れた。

 あの日の朝。夫妻が目を覚ますと、そばで寝ていた優真ちゃんは冷たくなっていた。5時間ほど前、元気にミルクを飲んだばかり。すぐに救急車を呼んで必死に蘇生を試みたが、息は戻らなかった。

 事件性の有無を調べるため夫妻は広島県警から事情を聴かれ、優真ちゃんは解剖されることに。解剖前、警察署の安置室で対面した優真ちゃんは冷たい台の上に寝かされ、触れることさえできなかった。4日後、体中を包帯で巻かれた姿で戻り、2人の悲しみに追い打ちをかけた。告げられた死因は「不詳」だった。



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