東京都内で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めが掛からない。都は19日に過去最多を更新する534人の新規感染者を確認。同日開かれた都のモニタリング会議では、都内の感染状況の警戒レベルが最高の「感染が拡大している」に引き上げられた。季節性インフルエンザとの同時流行が懸念される冬を前に、都内は感染拡大防止の正念場を迎えている。
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「先週は拡大の始まりと申し上げたが、今回は急速な感染拡大の局面を迎えたと判断している」。都のモニタリング会議に出席した国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長はこう述べ、この1週間で都内の感染状況が大きく悪化したとの認識を示した。
都によると、直近7日間を平均した1日あたりの都内の感染者数は9月以降、140~190人台で高止まりしていたが、11月に入って急増。前週は会議に参加する専門家の間で意見が割れて警戒レベルの引き上げは見送られたが、感染者数は今週も増加傾向が続いたため、「危機感が共有されていた」(出席した専門家)と引き上げに異論は出なかったという。
19日の会議では、重症化リスクの高い65歳以上の高齢者が10~16日に274人になり、前週の197人から約4割増えたことが報告された。また、新規感染者については、現在の増加比(1週間で約3割増)が4週間続くと、1日あたり約1020人に増えるとの試算も示された。
入院患者数は18日時点で1354人で大きく増えておらず、医療提供体制の警戒レベルは上から2番目の「体制強化が必要」が維持された。ただ、病床に余裕があるわけではなく、都医師会の猪口正孝副会長は「重症患者数の増加が続けば、(一般患者の)手術を制限せざるを得なくなり、通常医療の維持と重症患者のための病床の確保の両立が困難になる」と危機感をあらわにした。
会議に参加した「東京iCDC」(東京感染症対策センター)の専門家ボード座長を務める賀来満夫・東北医科薬科大特任教授は、冬になると空気が低温乾燥状態になって新型コロナウイルスが活性化するとともに、細かい飛沫(ひまつ)が飛んで感染しやすくなると指摘。「常にマスクや手洗いを忘れず、換気に注意する。近距離でマスクなしで15分以上会話をしないように注意してほしい」と語った。【内田幸一、斎川瞳、竹内麻子】