福岡市から業務委託を受けた公益財団法人「福岡県すこやか健康事業団」(現・ふくおか公衆衛生推進機構)が2015年に実施した胃がん検診で、同市西区の女性=当時(73)=が飲んだバリウムが誤って肺に多量に流入した際、救急搬送されず、肺から取り除けなくなっていたことが分かった。女性は重い後遺症を患い、今年夏に死亡。事業団側は「対応は適切だった」としているが、女性の夫は「きちんとした対応を取っていれば、バリウムは除去できたのではないか」と不信感を募らせている。
胃がん検診は15年8月、西区の公民館で行われた集団検診の一つで、巡回検診車内で実施した。
事業団側が夫にした説明によると、女性がバリウムを飲んだ直後、診療放射線技師による胸部観察で肺にバリウムが流入しているのが見えたため検診を中止。バリウムの排出処置を実施したが取り除けず、女性は検診医の指示でスタッフに付き添われタクシーで消化器科医院に移った。だが、医院でも排出できなかったため、さらに早良区の別の病院に移動。ここでも取り除けず、肺洗浄などの処置も行われなかったという。