【米大統領選2020】 ジョージア州、バイデン氏の勝利を正式認定


【米大統領選2020】 ジョージア州、バイデン氏の勝利を正式認定

ジョージア州によると、バイデン氏の得票数は247万4507票、トランプ氏は246万1837票。1万2670票差で同州のバイデン氏の勝利が確定した。

同州のブライアン・ケンプ知事(共和党)は同日、州法に従い、州務長官が認定した開票結果を州知事として承認すると記者会見で述べ、署名した。この結果、同州に割り当てられた選挙人16人は12月、バイデン氏に投票することになる。

共和党員で、トランプ氏を「誇り高く支持している」という同州のブラッド・ラッフェンスパーガー州務長官は記者団に対して、「自分の政党が負けたのは残念」だが、「数字はうそをつかない」と述べた。

ラッフェンスパーガー氏は、「数字はうそはつかないというのをモットーに、自分は生きている。州務長官として、本日発表した数字が正確だと確信している」と述べた。

ジョージア州の再開票は、票差が僅差だったため、州法の規定にもとづいて行われた。

大統領選において同州で民主党候補が勝つのは、1992年のビル・クリントン氏以来。

トランプ陣営のジェナ・エリス弁護士は、同州が不正票を数えていたと証拠を提示することなく主張していた。一方で、共和党員で同州の選管幹部ゲイブリエル・スターリング氏は米CNNに対して、再集計を通じてこれまで集計に含まれていなかった約6000票が発見され、バイデン氏のリードをいくらか狭めたものの、これは人的ミスが原因で、大規模な不正の結果ではないと述べた。米メディアによると、未集計の票が見つかったフロイド郡の選管担当者たちは解任されたという。

バイデン氏は来年1月20日に、第46代合衆国大統領に就任する見通し。

一方でこの日には、トランプ氏の支持者が各州で不正投票などを主張し提起している訴訟のうち3件が裁判所によって棄却された。トランプ氏は今も、圧勝したのは自分だったとして、不正選挙だったと主張している。

■トランプ陣営は州議会に働きかけか

全国的な得票数ではバイデン氏が590万票以上リードしているが、アメリカの大統領は全国的な得票数では決まらない。

各州の人口などをもとに割り当てられた選挙人計538人が、12月14日に各州で大統領候補に直接投票する。過半数270人の票を獲得した候補が当選する。バイデン氏が獲得した選挙人は306人、トランプ氏は232人となっている。

今後は各州の選挙人が12月14日に首都ワシントンに集まり、大統領候補に直接投票する。この結果で、次期大統領が正式に決まる。

各州の選挙人は11月3日の大統領選の結果に沿って、自分の州で勝った候補に投票するのが通常の手続き。選挙結果を受けて、勝った側の党が選挙人を決める州もあれば、選挙前に各党が選挙人候補を指名し、選挙結果を受けて州知事が任命する場合もある。

通常の手続きでは、たとえばジョージア州の選挙人16人は全員がバイデン氏に投票する。11月3日の選挙の結果を受けて、選挙人538人のうち、306人がバイデン氏、232人がトランプ氏に投票する。

しかし、トランプ陣営は敗れた州のうち、共和党多数の州議会に働きかけることで、11月の選挙結果とは無関係に、トランプ氏に投票する選挙人を任命しようとしているのではないかと言われている。

連邦法によると、もしも州の有権者が「選択をしなかった」場合は、州議会が選挙人を選ぶことができることになっている。

ただし、有権者が「選択をしなかった」と立証するのは困難で、トランプ陣営はこれまでのところ大規模な不正があったと法廷で立証できずにいる。

バイデン氏が奪還したミシガン州(選挙人16人)では大都市デトロイトが含まれるウェイン郡で、票を認めるかをめぐって地元選管が紛糾(ふんきゅう)した。トランプ氏は共和党員の選管委員に直接電話して働きかけたほか、共和党の州議会議員をホワイトハウスに呼び寄せた。

ホワイトハウスのケイリー・マケナニー大統領報道官は、トランプ氏が20日にミシガン州議会議員と会談するのは、選挙について働きかけるのが目的ではなく、地方自治体の関係者との定期的な状況確認に過ぎないと述べた。

トランプ氏と会談した州議会議員のうち、上院院内総務(共和党)と下院議長(同)は20日夜に声明を発表し、「現職大統領にホワイトハウスに招かれれば、それが誰だろうと応じる」とした上で、「ミシガンの選挙結果を帰るような情報を、我々は得ていない」と書いた。

11月3日の大統領選以来、公の場に2度しか出席していなかったトランプ氏はこの日、ホワイトハウス会見室で薬価引き下げについて記者発表すると共に、選挙に勝ったのは自分だとあらためて事実と異なる主張を繰り返した。

各州は11月3日の投票結果を今後、数週間のうちに確定しなくてはならない。締め切りは州によって異なる。各州が投票結果を確定すると、トランプ氏が情勢をひっくり返すのは難しくなる。少なくとも3つの州で、選挙人全員が選挙結果を無視して、トランプ氏に投票しない限り、トランプ氏勝利とはならない見込み。

トランプ陣営は、共和党が州議会を押さえているミシガン、ウィスコンシン、ペンシルヴェニア各州などで、州議会に働きかける可能性がある。ウィスコンシン州ではすでに、部分的な再集計を要求している。

■「最も無責任な米大統領」

バイデン氏は19日、与野党の州知事たちとのバーチャル会議で、トランプ氏が敗北を認めず、政権移行の手続きも拒否していることについて、「この国の民主主義の機能について、とてつもなく害の大きいメッセージを世界に発信している」と批判し、トランプ氏が「アメリカ史上最も無責任な大統領の1人」として記憶されるだろうと述べた。

「どういう思考回路なのか、なかなか理解しがたいが」とバイデン氏は言葉を選びながら、「とんでもない真似をしている」と批判した。

これまでのところ野党・共和党の議員たちはおおむね、敗北を認めないトランプ氏を支持もしくは容認している。その中でミット・ロムニー上院議員(ユタ州選出)はツイッターで、トランプ氏が「州や地元当局にあからさまな圧力をかけ、国民の意思をなし崩しにし、選挙結果を覆そうとしている」と強い調子で非難。「現職のアメリカ大統領によるものとして、これよりひどい、これより非民主的なふるまいは、想像しにくい」と書いた。2012年大統領選で共和党候補としてバラク・オバマ大統領(当時)相手に敗れたロムニー氏は、これまでもたびたび党の大多数と別行動をとり、トランプ氏を批判したり、弾劾裁判でも有罪に賛成したりしている。

■トランプ陣営の法廷闘争

19日午後には、トランプ陣営の訴訟戦略を指揮するルディー・ジュリアーニ弁護士が会見し、立証されていない陰謀論や不正選挙の主張を繰り返した。

ジュリアーニ氏は自分たちの法廷闘争が苦戦続きだという報道に強く反発し、マスコミは「大統領に対する不合理で病的な憎悪」をあらわにしていると述べた。

多くの法曹関係者は、トランプ陣営の法廷闘争が選挙結果を逆転させるようなことになはらないという見方を示している。これまでに陣営が提起した訴訟のほとんどは、裁判所で棄却されている。

トランプ陣営の主張と各州の動きは次のとおり。

ジョージア州: 得票数差が0.5%未満だったため、州法にもとづき手作業による再集計で開票結果を監査した結果、バイデン氏勝利の結果は変わらないという結果が出た。共和党はこれに先立ち、20日に予定される開票結果確定を阻止しようと提訴したものの、州裁判所がこれを棄却した。この裁判長は昨年、トランプ氏に指名され就任した。

州選管は、トランプ氏の票が496票増えたのは、当初の開票作業の人的ミスによるもので、大規模な不正ではないと説明した。フロイド郡は未集計の票が見つかったことについて、郡選管トップを解任したという。

ミシガン州: ジュリアーニ弁護士は、同州で残る最後の訴えを取り下げたと明らかにした。重要な郡の投票結果の確定を食い止めようとしていたのだという。

大都市デトロイトを含むウェイン郡では、共和党員の選管委員2人がウェイン郡の開票無効化を要求。オンラインで中継されたこの会議で有権者が激しく反発したため、共和党の委員2人は開票結果の有効性を認めた。同郡の選管幹部によると、この共和党委員2人はその後さらに、開票認定を撤回しようとしたものの、この要求はすでに無効で、同郡の結果は確定したという。共和党委員の1人によると、結果確定の後にトランプ氏から電話があり、「私が大丈夫か尋ねてくれた」という。

民主党支持者や黒人有権者の多いデトロイトを要するウェイン郡では、バイデン氏が圧勝したとされる。ミシガン州全体では、約14万6000票差で勝った見通し。

アリゾナ州: 大都市の州都フィーニックスを含むマリコパ郡で、開票結果の再集計を求める州共和党の訴えを、同郡高裁が棄却した。

ペンシルヴェニア州: トランプ陣営は同州で自分たちの立会人が開票の適正な監視を阻止されたと提訴し、2000票以上の郵便票を無効にするよう求めたが、棄却された。

ウィスコンシン州: トランプ陣営の費用負担で部分的再開票を要求。地元選管は、バイデン氏勝利の結果は変わらないだろうとしている。

(英語記事 US election 2020: Biden certified Georgia winner after hand recount)



Source link