「自分の身は自分で守る」 コロナ拡大下の3連休 観光地で喜びと戸惑い交錯


「自分の身は自分で守る」 コロナ拡大下の3連休 観光地で喜びと戸惑い交錯

【図解でわかる】コロナ、風邪、インフルエンザの違い

 木々が赤や黄に色づいた京都・嵐山には朝から多くの観光客らが訪れた。福岡県大牟田市の女性(75)は夫(76)と共に観光支援事業「GoToトラベル」を利用。7月の豪雨で自宅が浸水し、後始末が一段落したため、慰労の意味を込めて嵐山に足を運んだ。女性は「新型コロナで今後どうなるのか不安もあるが、骨休みになった」と話した。帰省のついでに来訪した埼玉県川口市の男性会社員(51)は「外でも絶対にマスクをしている。自分の身は自分で守るしかない。経済も回さないといけないので、締め付け過ぎても駄目だと思う」と語った。

 嵐山は例年、紅葉を迎えるこの時期に観光客の訪れがピークとなる。10月末ごろから観光客が戻りつつあるといい、嵐山商店街など5商店街で構成する「嵯峨嵐山おもてなしビジョン推進協議会」の中川新八郎幹事長は「思ったより人出が多くてありがたい。(今後の自粛要請などで)人の移動が制限されると苦しくなるので、冬の間に実施する企画も考え、観光シーズンの春につなげたい」と話した。

 ◇徳島で阿波踊り 来夏に向け実証実験

 踊り手にはマスクやフェースシールド、「ヤットサー」の掛け声はなし――。徳島市ではいつもと違った阿波踊りが始まった。例年夏の恒例行事は2020年、戦後初めて中止になり、21年夏の開催方法を探るためコロナ禍での感染対策を検証するイベントとして開いた。

 徳島県阿波踊り協会に属する有名連(踊りグループ)のメンバーら約180人が踊りを披露した。会場になった藍場浜公園(徳島市)では5列に並んで踊るのが従来のスタイルだが、今回は3列で踊り手同士は約2メートルの間隔を取り、観客席も通常の5分の1に縮小。観覧した徳島市北山町の女性会社員(40)は「(観客席が)隣の人と距離があって話せず、夏とは違う雰囲気だった」と話した。

 ◇日本シリーズ「大声出さず静かに応援」

 21日に大阪市西区の「京セラドーム大阪」で開幕した巨人―ソフトバンクの日本シリーズ。最寄りのJR大正駅付近では試合前、両チームの公式シャツを着たマスク姿のファンなどが球場に向けて歩いていた。

 「GIANTS」と胸に書かれたシャツを着た神奈川県横須賀市の男性会社員(34)は「このご時世なので、試合を見たら寝台列車ですぐに帰る」と話した。全国で感染者数が拡大傾向であることを受けて観戦を取りやめようとも考えたが、「日帰りなら」と判断した。30年近い巨人ファンで日本シリーズはほぼ欠かさず観戦するが、「今年は大きな声は出さずに静かに応援したい」と語った。

 北九州市から訪れた、ソフトバンクのロゴ入りマスクをつけた自営業の男性(42)は「本当は3日かけて関西を観光したかったが、1日短縮して明日には帰る予定」と残念そうに話す。コロナ対策として、消毒液やマスク用除菌スプレーを常に持ち歩いているという。また、菅義偉首相がこの日夕方、「GoToトラベル」に関して感染拡大地域を目的地とする新規予約を一時停止するなどの措置を導入すると表明したことについて「3連休前に言ってほしかった。正直なところ遅く感じており、元々予定を立てて旅行している人が『悪い人』のように見られてしまうのでは」と懸念を示した。【福富智、松山文音、園部仁史】



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