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9月27日に勃発し、1994年の停戦合意後で最悪の死者を出した旧ソ連構成国のアゼルバイジャンとアルメニアによるナゴルノカラバフ紛争に、当面の「出口」が見えてきた。米大統領選の熱狂の影に隠れる中、仲介役ロシアとアゼルバイジャン、アルメニアの3カ国首脳が11月9日、完全停戦に関する共同声明に署名。ロシアのプーチン大統領によると、民間人を含む双方の死者は推計4000人以上で、停戦合意までの激戦でさらに増えている可能性が高い。
〔写真特集〕アルメニアとアゼルバイジャンの戦闘
アゼルバイジャンは「アルメニアの事実上の降伏」と見なして勝利を宣言し、アルメニアの後ろ盾ロシアも平和維持部隊を送り込んでこの地域におけるプレゼンスを維持することに一応成功した。「同一民族の兄弟国」アゼルバイジャンを支援したトルコが真の勝者という見方もある。ただ、四半世紀にわたる支配地域を失ったアルメニアでは、停戦合意に対する不満がくすぶっており、戦闘再燃の火種となりかねない危険な状況が続く。トルコを含む4カ国は今回の紛争をどう捉えたのか。(時事通信社・前モスクワ特派員 平岩貴比古)