韓国経済が再び試験台にのせられた。新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)第3派が現実のものとして近づいたためだ。今年2~3月、8~9月に続き3回目の景気後退の可能性が高まった。1年に3回の経済ショックは類例がない。
韓国政府は24日から首都圏基準のソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)防疫段階を2段階に引き上げた。鄭銀敬(チョン・ウンギョン)中央防疫対策本部長は23日、「全国的な大規模拡大の危険が非常に懸念される状況」と警告した。
防疫はもちろん、景気の側面でも第1・2派の時よりも第3派のほうが危険要因が多い。1年近く続いた新型コロナ危機で内需景気は「グロッキー」状態だ。最後の期待をかけていた年末特需はすでに水泡に帰した状況だ。不確実性が高まり、家計消費支出はすでに縮小している。政府支援金の増加にもかかわらず、7-9月期の家計支出は前年同期比2.2%減少した。
輸出も相変らず不安だ。1~20日輸出額は昨年同期比11.1%増、一日平均輸出額は7.6%増となった。しかし、米国・欧州などでもコロナ感染者が再び急増していて、本格的な輸出回復を自信を持って話せない状況だ。
政府が追加で使えるカードもない。第1・2派の時は政府と国会が補正予算案を編成して緊急災難支援金を注ぎ込んだ。3月から9月まで4回の補正予算で85兆1000億ウォン(約8兆円)に達する財政が市中にばらまかれた。だが、現状況はその時とかなり違う。あと1カ月もすれば年が変わり、補正予算編成は現実的に不可能だ。来年度の予算を増額したり来年初めの補正予算をする方法だけだ。これもまた容易ではない。すでに来年度の本予算自体が今年の本予算と補正予算を加えた金額(554兆7000億ウォン)を上回る555兆ウォン台の「スーパー予算」が組まれた。今年相次ぐ補正予算で国の借金が大きく増えた状況で、政府は「これ以上絞れる乾いたタオルもない」という立場だ。来年の予算を増額しようが、緊急補正予算を編成しようが「借金祭り」は避けられない。
だが、総選挙を控えてばらまかれた1次災難支援金のように、来年ソウル・釜山(プサン)市長補欠選挙を控えた政界の圧迫はむしろ強まる雰囲気だ。すでに3次災難支援金の雰囲気づくりに余念がない。李在明(イ・ジェミョン)京畿道(キョンギド)知事(20日)に続き、野党「国民の力」の金鍾仁(キム・ジョンイン)非常対策委員長(23日)も「前もって準備しておくほうがいいのでは」と話した。これについて高麗(コリョ)大学経済学科のカン・ソンジン教授は「総選挙のために全国民災難支援金を配分したが、事実上、必要ない高所得層支援に財政を使った様相だった」とし「政治的論理ではなく、専門家中心の一貫した防疫経済政策を展開する必要がある」と明らかにした。
専門家の診断は長期戦に備えなければならないという側に傾いている。災難支援金を通した軽率な消費振興策が新型コロナ再拡大につながりかねないという懸念だ。漢城(ハンソン)大学経済学科のキム・サンボン教授は「今は経済よりも防疫が先」としながら「新型コロナ初期のように『ロックダウン(全面封鎖)』状況が再来すれば(景気後退を)また統制できなくなる可能性もある」と強調した。
場当たり的な支給を繰り返してはいけないという主張も続いた。延世(ヨンセ)大学経済学部のソン・テユン教授は「(以前の支援政策は)効果が薄いという結果が出ていて、特に対面消費が難しい状況で災難支援金のような直接支援方式は限界がある」とし「新型コロナ事態が長期化する可能性があることを念頭に置いて、適正規模の財政を経済的脆弱層を対象に選別支援する必要がある」と助言した。