【ワシントン=黒瀬悦成】米大統領選で敗北が確実となった共和党のトランプ大統領の陣営は22日、「選挙に不正があった」として訴訟攻勢を展開していた陣営の弁護団の一員だった女性のシド・パウエル弁護士について「トランプ弁護団の一員ではない」と言明し、実質的に絶縁したとする声明を発表した。
【写真】弁護団から放逐されたパウエル氏(右)
パウエル氏は、弁護団長のジュリアーニ元ニューヨーク市長らと19日にワシントン市内で行った記者会見で、今回の大統領選をめぐり、共産国家のキューバとベネズエラ、中国の資金提供でトランプ氏の放逐を目指した「国際的な策謀」があったと主張した。
同氏はまた、ドミニオン社などの集計システムによって大量の票がトランプ票からバイデン票に書き換えられたとし、さらには一連のシステムが数年前、ベネズエラのチャベス政権(当時)の不正選挙のために開発された技術を応用していると説明していた。
同氏の主張に対しては、熱烈なトランプ支持勢力を除いては「荒唐無稽な陰謀論」との評価が定着しているほか、トランプ氏に近い保守派の論客からも「何一つ証拠が示されていない」として批判が相次ぐなど、弁護団の信頼性を大きく損ねる一因となっていた。