新型コロナウイルスのワクチンの確保をめぐり、欧米などの先進国と途上国の格差が浮き彫りになっている。世界保健機関(WHO)などはワクチンを平等に分配する取り組みを進めているが、資金や保管するための設備が不足する問題に直面している。
【イラスト】感染リスクが高まる「5つの場面」
米デューク大の調査によると、米国や欧州連合(EU)などの先進国が確保したワクチンは11月30日時点で計約38億回分。途上国は国の数や人口が圧倒的に多いが、計約25億回分と引き離されている。
途上国にワクチンを行き渡らせるために、ワクチンを共同購入するWHO主導の国際的枠組み「COVAX(コバックス)」も同日時点で7億回分しか確保できていない。
COVAXは2021年末までに20億回分の接種量を確保する目標を掲げているが、ワクチン開発が活発な米国やロシアが枠組みに参加しておらず、調達の遅れが懸念されている。
COVAXはこれまでに20億ドル(約2100億円)の資金を集めたが、来年はさらに50億ドルが必要になる見込みだ。
また、米製薬大手ファイザーなどが開発したワクチンの保管にはマイナス70度以下の超低温冷凍が必要で、設備の乏しい途上国では輸送や保存が困難とみられている。
アフリカ疾病対策センター(アフリカCDC)の責任者は英メディアに対し、アフリカ諸国が来年4月までにワクチン接種を開始できる可能性は低いとの見方を示した。(ロンドン 板東和正)