【北京・坂本信博】新型コロナウイルスの震源地とされる中国の湖北省武漢市で、最初の発症者が確認された日から8日で1年。ヒトへの感染ルートを解明する世界保健機関(WHO)の調査は今も進んでいない。世界的流行の責任追及を避けたい中国政府が、外部調査の受け入れに消極的なためだ。最近では国外からの流入を示唆する報道も相次いでおり「武漢起源説」をなんとしても否定したい中国側の思惑が透ける。
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「武漢で最初に流行したからと言って発生源とは限らない」。中国外務省の趙立堅副報道局長は11月下旬の記者会見で強調した。
中国当局は当初、武漢の華南海鮮卸売市場で売られていた野生動物が発生源とみて、野生動物の取引を禁じた。しかしその後、最初の症例は市場と無関係だったと態度を一変。世界の感染者数が7千万人に迫り、死者数も150万人を超す中、日中の外交筋は「中国の初動の遅れが世界的流行を招いたとの国際社会からの批判と、習近平指導部への国内の不満をかわそうとしている」と解説する。