LGの具光謨代表が2月にLGエレクトロニクスのデザイン経営センターを訪問し未来型コネクテッドカー内部に設置された衣類管理機のデザインをチェックしている。[写真 LGエレクトロニクス]
LGエレクトロニクスが世界3位の自動車部品メーカーであるカナダのマグナ・インターナショナルと合弁法人を設立する。自動車電装事業を育て次世代の収益源にするという意志と解釈される。
LGエレクトロニクスはマグナと合弁で「LGマグナeパワートレイン」(仮称)を来年7月に設立すると23日に発表した。合弁会社は仁川(インチョン)と中国・南京でモーター、インバータ、電気走行システムなど電気自動車(EV)用の動力伝達装置(パワートレイン)系列部品を生産する。
これに向けLGエレクトロニクスは自動車電装(VS)事業本部の一部を物的分割する。電気自動車モーター、インバータ、車両充電器、駆動システム分野などだ。来年3月の株主総会で物的分割が承認されれば新設法人の株式49%をマグナが取得する。LGエレクトロニクスは総額9億2500万ドル規模の合弁会社に51%を投資する構造だ。
LGエレクトロニクスのキム・ジンヨンVS事業本部長(副社長)は「合弁法人はLGエレクトロニクスの優れた製造技術力、マグナの豊富な経験と顧客ネットワークを積極的に活用し、近づいてくる電気自動車時代をリードしていくだけでなく、自動車部品事業の競争力を高めるだろう」と強調した。
業界ではエコカーと電動化部品市場が急成長している中でLGエレクトロニクスの電装部品技術力とマグナのエンジニアリング能力が相乗効果を出すと期待している。LGエレクトロニクスはシボレー「ボルトEV」とジャガー「I-PACE」などに搭載される電気自動車用電装部品を供給して競争力を認められている。今年に入ってからはGM系列のキャデラックに納品し、仏ルノーから「革新部門車両用ディスプレー優秀供給会社」にも選ばれた。
何より具光謨(ク・グァンモ)LG代表がバッテリーとともに主力事業として育てている分野だ。2年前にはオーストリアの車両用照明会社ZKWを1兆4000億ウォンで買収するなど投資も続けている。
マグナはパワートレインとシャーシー、内外装など多様な自動車部品を生産し、米自動車業界ビッグスリーのフォード、GM、クライスラーをはじめ、BMWやフォルクスワーゲンなどに供給している。パワートレイン分野の統合システム設計と検証などエンジニアリング能力に基づいて世界の自動車部品市場を先導している。自動運転部門でも強みがある。
LGエレクトロニクスの立場では新たな合弁法人を通じてマグナの世界の大手自動車メーカーを顧客として確保できる。また、LGエレクトロニクスが競争力を持つ電気自動車パワートレインの核心であるモーターとインバータ事業のポートフォリオを拡大する効果も狙える。LGエレクトロニクス関係者は「電装の新規受注が増え、早期に大量生産体制を構築して規模の経済を実現できる」と明らかにした。LGエレクトロニクスは10月に「電装事業は来年7-9月期から営業利益が黒字転換するものと判断する」と明らかにしている。
マグナは過去にアップルと「アップルカー」の生産を協議したりもしただけに、今後アップルの次世代電気自動車契約を獲得する可能性も取り沙汰される。韓国投資証券のキム・ジンウ研究員は「マグナは自動車委託生産に一見識がある。アップルが今後電気自動車生産をマグナに任せることもありうる。LGとアップル、マグナの関係を考慮すると新設合弁会社が自動車部品をアップルカーに納品する構図も可能だろう」と予想する。
財界では具光謨会長が電気自動車需要に積極的に対応するために勝負に出たとの評価も出ている。
こうした期待感からこの日LGエレクトロニクスの株価は11万9500ウォンで引けた前日より29.61%上がって値幅制限まで上昇した。LGエレクトロニクスのストップ高は12年ぶりだ。この日の上昇で時価総額は4兆5000億ウォン増加し、時価総額順位はKOSPI23位から16位に挙がった。LGとLGディスプレーなど他のLG系列会社の株式も急騰した。