新型コロナ事態の中、昨年の韓国情報通信技術(ICT)分野の輸出が過去3番目の規模になったことが分かった。全体の輸出が2年連続で減少している中で出した実績だ。専門家らは新型コロナがもたらした非対面経済拡大の影響であり、当分はICT分野の好況が続くと予想している。
産業通商資源部は18日、昨年のICT分野の輸出を前年比3.8%増の1836億ドルと発表した。「半導体スーパーサイクル」(半導体販売額が大きく増えて好況を迎える時期)を迎えた2018年(2203億ドル)と2017年(1976億ドル)に続いて過去3番目に多い輸出額だ。
昨年のICT分野の貿易収支は710億ドルの黒字(暫定値)だった。前年と比べて昨年のICT輸出好調は劇的な反転だ。2019年のICT輸出は、主力製品のDRAMの価格下落で年中振るわなかった。さらに米中間の貿易紛争、好況だった2018年との比較で輸出額は2けた減少(-19.7%)となった。
昨年のICT輸出が増加した最大の理由は、新型コロナがもたらした非対面経済の拡大だ。自宅で過ごす時間が増え、オンラインショッピング・在宅勤務など非対面業種関連のICT需要が大幅に増えた。実際、新型コロナ拡大直後の昨年上半期には国境封鎖などの影響でICT輸出が前年同期比2.8%減少した。しかし本格的に非対面経済の拡大が始まった昨年6月からICT輸出は7カ月連続で増加した。企業も大規模データセンターや5Gインフラへの投資を大きく増やした。これを受け、昨年の半導体輸出額(5.4%増)は2019年の不振から反騰に成功した。在宅勤務の拡大でコンピューターおよび周辺機器(53.1%)の輸出も急増した。特にノートブックなどパソコンの販売が増え、高速補助記憶装置ソリッドステートドライブ(SSD)の販売は前年比101.5%増えた。
昨年のICT輸出は量的な増加だけでなく質的にも成果があった。特に高付加価値品目と未来新産業品目が善戦した。まず新事業のシステム半導体はファウンドリー(半導体委託生産)を中心に昨年、過去最高の輸出額(303億ドル)となった。有機発光ダイオード(OLED)も3年連続で輸出100億ドルを超えた。SSDは過去最高輸出額を更新し、MCP(マルチチップパッケージ、14.1%)の輸出も大きく増えた。
ただ、こうした輸出の善戦にもかかわらず越えるべき壁は多い。まず新型コロナ以降に強まる保護貿易の強化が負担となる。特に最近は世界の国々が分業して製品を生産するグローバルバリューチェーン(GVC)の代わりに、地域内の信頼できる国同士で取引をする地域内バリューチェーン(RVC)の傾向が強まっている。こうした状況の中、新型コロナ事態で目立たなくなった米中貿易紛争がまた本格化すれば、韓国経済に大きな打撃を与えかねないという懸念が出ている。キム・サンボン漢城大経済学科教授は「当分はICT業種を中心に輸出好調が続くだろうが、通商環境の変化が負担として作用するかもしれない」とし「特に米中貿易紛争で中国企業が淘汰される分野が生じれば、これを韓国が引き込めるよう戦略をうまく立てる必要がある」と助言した。