人工知能(AI)でコピー商品を鑑別するソリューションを開発したスタートアップ、マークビジョンのイ・インソプ代表(左)とイ・ドギョン副代表。ウ・サンジョ記者
韓流ブームに乗って韓国の即席めんが中国と東南アジアで大きな人気を呼んでいる。だが現地では外見だけ似せたコピー商品が増えメーカーが頭を痛めている。即席めんだけではない。アマゾンやアリババなどで売られる商品のうち3~10%はコピー品というのは定説だ。昨年世界のオンライン市場で取引されたコピー商品は1000兆ウォン(約94兆円)台と推定される。以前ならメーカーがいちいち現場を探して「コピー掃討」をするのがほぼ唯一の解決策だった。
こうした混濁している市場を変えようと立ち上がったスタートアップが注目されている。オンラインモールでコピー商品を選り分ける人工知能(AI)ソリューションを開発したマークビジョンだ。マークビジョンは米国のアマゾンとイーベイ、中国のアリババとタオバオ、韓国のクーパンとネイバーなど、10カ国25社と連係してコピー商品をモニタリングしている。独自開発したAIアルゴリズムが正規商品のイメージ、価格、レビューなどを学習した後、これをベースに24時間体制でオンラインモールに上げられたコピー製品を見つけ出す。AIが「コピー品」と判別すればすぐに社内の掲示板に表示されリアルタイムで顧客に伝えられる。この会社が顧客企業ごとに毎月見つけ出すコピー商品は平均2000~3000件に達する。1件当たりの摘発費用は手作業でした時と比べ50分の1水準だ。摘発時間は30分の1水準に減った。
5日に会ったイ・インソプ代表(31)は「コピー商品を選り分ける正確度は90~92%。ここで重要なことはスピード」と強調した。マークビジョンの場合、AIが見つけ出した後、該当サイトから削除されるのに平均2~3日、早ければ1日ほどかかる。過去にはコピー業者と訴訟をするのに通常3~5年かかった。マークビジョンは2019年1月に創業し昨年7月にサービスを始めた。ラルフローレン・コリアと三養(サムヤン)食品、レジンコミックスなどが主要顧客だ。コピー商品といえばブランド品や化粧品などが思い浮かぶが、ウェブ漫画制作会社と契約したことは興味深い。イ・ドギョン副代表(30)は「ウェブ漫画で人気キャラクターが生まれれば著作権に違反したグッズが流通したりするが、これを遮断するための措置」と話した。また、イ副代表は「顧客の中にストリートファッション企業があり、コピー商品のために売り上げが30%まで落ち込んだりもした」と話した。その上で米国のスタートアップであるコラボスペースの「ブロック」の事例を挙げた。イ副代表は「ブロックは正式に製品が発売される前に中国や東南アジアでデザインを無断盗用して売られた。この時、マークビジョンのモニタリングで選り分けられたコピー商品規模は150億ウォン相当」と話した。彼は「健全なビジネス生態系を作るという自負心ができた」とした。
マークビジョンはソーシャルメディア(SNS)のインスタグラムで流通するコピー商品をモニタリングするサービスも近く開始する。先月には米シリコンバレーのアクセラレーター「Yコンビネーター」の投資育成プログラムにも選ばれた。イ代表は「特定人物の顔を他人の身体に合成して犯罪に利用するディープフェイクや、著作物保護サービスなど多様な分野でモニタリングを拡張する計画。マークビジョンをオンライン空間で技術力を基に企業を守るブランドとして育てたい」と話した。イ・インソプ代表はハーバード大学で経済学を専攻し、マッキンゼーなどで経歴を積んだ。その後ハーバード大学ロースクールを卒業した。共同創業者であるイ・ドギョン副代表と意気投合したのもこのころだ。イ副代表はコーネル大学経営学科を卒業した後、EY韓英とホテル予約プラットフォームのデイリーホテルなどで勤めた。