朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長
アーバン・エア・モビリティ(都市航空交通)技術企業として最近韓国の投資家から大きな注目を浴びている中国企業のイーハン・ホールディングスが技術操作や虚偽の契約で株価を膨らませたとの主張が16日に米国で出てきて波紋が拡散している。ソウル市はイーハンの「ドローンタクシー」の機体を数億ウォンで購入するなど、イーハンのドローンタクシー導入計画を具体化した状況のため、イーハンの技術詐欺議論の流れ弾に当たりそうだ。
◇朴元淳前ソウル市長も推進…4億ウォンで機体買った
ソウル市は昨年11月11日に汝矣島(ヨイド)で「Kドローン管制システム活用ドローン配送・タクシー総合実証行事」を開いた。この行事ではイーハンが開発した2人乗り有人ドローンタクシー「EH216」も展示された。この機体はコメ袋を載せて7分間ほど空を飛んだ。
ソウル市のドローンタクシー導入計画は朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長(故人)が主導した事業として知られている。朴前市長は2019年に「ソウルスマートシティ」宣言文で「2024年にソウルの空をドローンタクシーが飛び交い、2025年に自動運転車が都心で走れるようにする」と話した。革新運送手段のひとつとしてドローンタクシーを提示したのだ。
当時行事のためソウル市はイーハンのドローンタクシーを4億ウォンで購入した。ソウル市は実証行事を行う約半月前の昨年10月26日にホームページの説明資料で「今回の行事に向けたソウル市と国土交通部の全体予算は総額17億ウォン。このうち機体購入費用は4億ウォン以下」と明らかにした。
◇「虚偽契約の疑い、生産設備なかった」
投資情報会社のウルフパックリサーチはこの日、「墜落する運命であるイーハンの株価急騰」という題名で33ページにわたる空売り報告書をまとめた。報告書は先月中旬に中国のイーハン本社と工場、イーハンと契約を結んだ企業などを直接訪ねた後に作成された。特にイーハンの無人航空機購入契約に約5000億ウォンを投じたクンシャンは契約9日前に設立された企業という内容が盛り込まれている。
ウルフパックリサーチはクンシャンとイーハンの契約について、「イーハンの株価を引き上げることに関心があるとみられる顧客(クンシャン)との虚偽の販売契約を基盤とした精巧な操作」と明らかにした。イーハンの主要契約は偽物という結論だ。
報告書によると、クンシャンの住所地3カ所のうち2カ所は虚偽だった。1カ所はクンシャンと全く関連がないホテルの住所で、もう1カ所は11階建てビルの13階になっているというのが報告書の内容だ。また、中国・広州にあるイーハン本社にもドローンタクシーを生産するための基礎的な設備が足りていないというのがウルフパックリサーチの判断だ。
イーハンの株価は今年だけで6倍以上上がった。この日米ナスダック市場で120ドル以上を記録したイーハンの株価は報告書発表直後に62%以上急落し46.30ドルで取引を終えた。第2のラッキンコーヒーやニコラになるとの見通しが出ており、イーハンの株式約6000億ウォン相当を保有する韓国の投資家の損失も懸念される状況だ。