26日にオープンする韓国2番目のアップルストア「アップル汝矣島」。[写真 アップル]
アップルが韓国のスマートフォン市場に力を入れている。フラッグシップストア(旗艦店)をオープンし、新製品発売時期も繰り上げている。これまで不満が多かったアフターサービスも改善する予定だ。
◇汝矣島にフラッグシップストア26日にオープン
アップルは26日にソウル・汝矣島(ヨイド)のIFCモールL1階に韓国2番目のフラッグシップストアとなる「アップル汝矣島」をオープンすると24日に明らかにした。2018年1月にソウル・新沙洞(シンサドン)のカロスキルに最初のアップルストアをオープンしてから3年ぶりだ。
この日訪問したアップル汝矣島は壁が透明なガラス張りだった。外からでも店内のようすが見えた。売り場にはiPhoneとiPad、アップルウォッチ、エアポッドマックスなど同社の主要製品が陳列されている。売り場の両端にはスタッフから各種機器に対するアドバイスを受けられる「ジーニアスバー」が設けられた。
両側の壁面には無線充電器マグセーフとアクセサリーなどが陳列されていた。ここには117人のスタッフが勤務する。アップルはアップル汝矣島に続きソウル・明洞(ミョンドン)、釜山(プサン)・海雲台(ヘウンデ)にアップルストア3号店、4号店をオープンする予定だ。
これまでアップルは韓国市場をややおろそかにする態度を見せてきた。世界25カ国で510店のアップルストアを運営しているが、韓国は日本など周辺国よりアップルストアのオープンが遅かった。2018年に最初の店舗を開いた後も後続の店舗展開はなかった。
◇5G乗り換え需要など狙って
アップルが韓国市場に力を入れていなかったのは、韓国のスマートフォン市場が「外国製スマホの墓場」と呼ばれるほど韓国企業のシェアが高いという点が作用した。市場調査会社のカウンターポイントリサーチによると、昨年の韓国のスマートフォン市場でのシェアはサムスン電子が65%、LGエレクトロニクスが13%だった。アップルは21%で2位だった。
それでも手をこまねいてはいられない。韓国はスマートフォン普及率が世界1位だ。放送通信委員会によると韓国の携帯電話普及率は99%、スマートフォン保有率は93.1%だ。ほとんど全国民がすでにスマートフォンを保有しているという意味だ。
アップルが韓国市場に力を入れ始めたのは、第5世代(5G)スマートフォンであるiPhone12を発売しながらだ。昨年10月にiPhone12を発売し韓国を「1.5次発売国」に分類した。これまでiPhoneの新製品は「1次発売国」でまず発売されると1カ月後に韓国で発売された。だが1.5次発売国に分類され1次発売国との発売時期の時差は1週間に縮まった。不満が続いていたアフターサービス強化案もまとめているという。
アップルが韓国市場に関心を持つ理由は、本格的な成長が期待される5G市場を狙ったものと分析される。韓国のスマートフォン市場で5Gの割合は2019年の28%から今年は87%まで高まる見込みだ。「乗り換え需要」が大幅に増えるだろうという予測だ。世界初の5G商用化国という象徴性も作用する。
LGエレクトロニクスのスマートフォン事業全面再検討のニュースも影響を及ぼしたという分析もある。韓国市場で10%台のシェアを維持しているLGエレクトロニクスがスマートフォン事業から撤退すればサムスン電子とアップルが市場を分け合う状況になるという見通しだ。
アップルのディアドラ・オブライアン首席副社長(リテール・人事担当)は「韓国の顧客の情熱と愛はアップルのスタッフみんなに大きなインスピレーションを呼び込む。カロスキルのアップルストアオープン後に韓国で2倍以上大きくなった規模でより多くの顧客に会うことができ大きな光栄と考える」と話した。