セルトリオンがケミカル医薬品に歩幅を広げている。
グローバル総合ヘルスケア企業を目指すセルトリオンは昨年6月、武田薬品からアジア太平洋地域の一部の医薬品事業を買収し、ケミカル医薬品事業を強化した。バイオシミラーなどのバイオ医薬品でなくケミカル医薬品の新薬開発に注力し、注目を集めている。
セルトリオンは8日、ポーランドで肥大型心筋症(HCM)新薬候補物質CT-G20の臨床第1相試験対象者を募集中と明らかにした。ポーランドで臨床第1相試験対象者を募集し、グローバル臨床試験を本格化する計画だ。今年上半期中に米食品医薬品局(FDA)に「CT-G20」の臨床第1相試験を申請する計画だ。現在、米国で3カ所の臨床試験機関を確保している。
CT-G20とは、セルトリオンが心臓疾患の一つ、肥大型心筋症の治療薬として開発中の化学合成新薬。セルトリオンがケミカル医薬品に事業領域を拡大した後、臨床試験段階に入った唯一の化学合成新薬であり、期待を集めている。セルトリオンは2019年3月、日本製薬会社と同候補物質の独占版権契約を締結した。現在、韓国国内で臨床第1相試験を進めている。セルトリオンの関係者は「国内では2019年から臨床試験をし、今年上半期に終了する予定」とし「上半期中に米食品医薬品局(FDA)に臨床試験計画(IND)申請と許可を終えて開始するのが目標」と話した。
肥大型心筋症は左心室壁が肥厚する心臓疾患。肥大型心筋症の患者は左心室の内腔が狭まり、流出路が閉塞しながら心臓弛緩の機能が落ちていく。心停止、心不全などの合併症を招いたりする。現在、世界で肥大型心筋症の治療薬として公式承認された医薬品はないという。肥大型心筋症の患者は症状緩和のために高血圧治療薬や抗不整脈薬などを使う。米国内の肥大型心筋症患者は約65万人と推定されている。
セルトリオンは昨年の売上高が1兆8000億ウォン(約1720億円)を超え、設立18年目で業界トップになるなど神話を築いている。バイオ医薬品と共にケミカル医薬品を通じて改良新薬を開発するなど、ポートフォリオを多様化して安定的な売上増加を目指す。