◆LG・SKエンジニアスカウトが戦い“点火”
LGとSK間のバッテリー訴訟戦は2年前に始まった。
LGエナジーソリューション(旧LG化学バッテリー部門)が2019年4月にITCと米デラウェア州連邦裁判所にSKイノベーションをバッテリー営業秘密侵害で提訴したことから攻防戦が始まった。LGエナジーソリューションは「SKイノベーションが2017年からわずか2年でLG化学電池事業本部の研究開発・生産・品質管理など全分野で76人の核心人材と技術を引き抜いた」と主張した。これに対してSKイノベーションはコメントを出して「正当な公開採用過程を進めて必要な人材を選んだ」と強く反論した。その後、両社はITCを含めて国内外の裁判所で10件を越える訴訟戦を繰り広げてきた。この過程で両社の最高経営責任者(CEO)間の会談もあったが、不発に終わった。
◆米現地で世論戦繰り広げて対立
LGとSK間の訴訟戦が転換点を迎えたのは2020年2月だ。ITCは電気自動車バッテリー営業秘密侵害訴訟と関連し、SKイノベーションに早期敗訴決定(Default Judgment)を下した。ITCは決定文で「SKイノベーションの故意的な証拠隠滅が、公正で効率的な裁判を妨害した」と指摘した。だがITCがSKイノベーションの予備決定再検討の要請を受け入れて均衡の錘が再び揺れた。
その後1年近く、両社は神経戦と世論戦を展開した。二社の米工場が位置した州政府と協力会社が代理戦に出るほどだった。LGエナジーソリューションとオハイオ州合弁会社を設立したGMと同州のマイク・デワイン州知事は昨年5月、「SKイノベーションがLGエナジーソリューションの知的財産権を侵害した不公正を是正しなければ、米国で1000件以上の雇用を創り出しているLGの投資が萎縮しかねない」という意見書をITCに提出した。SKイノベーションがバッテリー工場を建設中のジョージア州のブライアン・ケンプ州知事は「ITCの調査結果がジョージア州、さらには米国全体に重大な影響を及ぼす」としながら「注意深く評価してほしい」という内容の書簡をITCに送ったりもした。
◆ITC、LGに軍配…SKバッテリー輸入禁止
きっ抗した錘が傾いたのは今年2月だ。ITCは2月10日、SKイノベーションの電気自動車バッテリーに対して向こう10年間の米国内禁輸を決定した。ITCはフォードとフォルクスワーゲン電気自動車バッテリーに対してはそれぞれ4年、2年間の禁輸を猶予した。米国内の電気自動車産業を保護し、両社間の合意に余地を残した判決だという評価があった。その後、SKイノベーションはバイデン大統領の拒否権行使説得に注力した。金俊総括社長は米国に行って米政界の要人に会って説得作業を指揮した。
◆SKジョージア工場が稼働開始
今回の合意でSKイノベーションはジョージア州工場で電気自動車バッテリーを生産できることになった。SKイノベーションは今年初めからジョージア州第1工場で電気自動車バッテリーの試作品の生産に入った。これとは別にジョージア第2工場の新設も進めている。
両社は11日、それぞれのコメントを出した。LGエナジーソリューションは「先制投資を通じて大規模バッテリーの供給拡大および電気自動車の拡大が成功裏に実行されるように積極的な役割を果たしていく」としながら「両社が善意のライバルであり、パートナー的協力関係を構築して、大韓民国バッテリー産業のエコシステムの発展に向けて共に努力していく」と明らかにした。
SKイノベーションもコメントを通じて「今回の紛争に関連し、米国政府が推進する親環境政策、ジョージア経済の成長と雇用創出にさらに大きな責任感を持つようになった」とし「フォードおよびフォルクスワーゲンなどの顧客からの変わりない信頼と支持に積極的に応じ、今後さらに大きなパートナーシップに発展していくことができる契機を作ることになった点を非常にうれしく考える」と明らかにした。SKは「訴訟が長期化する場合の不確実性とKバッテリーの未来を考慮して大乗的な決定を下した」と明らかにした。
韓国政府も二社の合意を歓迎するという立場を出した。産業通商資源部はこの日、「今回のことを契機に二次電池産業界全般の連携と協力がさらに強いものになることを期待する」と明らかにした。また「これからは激しいグローバル競争に備えて準備しなくてはならない」としながら「政府も産業競争力強化のための支援を推進する計画」と強調した。
LG・SKのバッテリー“2兆ウォン合意”…バイデン氏「米国労働者・自動車産業の勝利」(1)