米露の対立が単なる冷戦で終わるか、それとも第三次世界大戦に発展してしまうかの瀬戸際と言える。ロシアが米国を非友好国のリストに入れたことを明かした。チェコでロシア外交官が追放されたことを契機に対立が激化しているが、米国がその裏にいると判断した形となる。これに並行するようにウクライナへ国境の派兵をここ7年で最大規模にまで増やしていて、クリミア併合のような事態が再び起きかねない情勢となっている。
ロシア、米国を「非友好国」に リスト作成で活動制限
4/26(月) 7:30配信 共同通信
【モスクワ共同】ロシアのプーチン大統領は25日までに、敵対的な行動を取る「非友好国」のリストを作成するよう関係機関に命じた。外務省のザハロワ情報局長は同日放映された国営テレビ番組で、リストに米国が含まれていると明かした。リストに入った国は在ロ大使館の活動や職員の数で制限を受ける。
バイデン米政権が発表した米駐在のロシア外交官追放を含む制裁に対抗する動き。バイデン大統領が提案した米ロ首脳会談に向け、交渉を有利に進める狙いもあるとみられる。タス通信によると、ロシアのウシャコフ大統領補佐官は、首脳会談が6月にも行われる可能性があると示唆した。
【地球コラム】ロシア軍演習で一触即発~ウクライナ危機「2.0」~
4/25(日) 17:05配信 時事通信
ウクライナ危機「2.0」
この春、ロシア軍が対ウクライナ国境付近に兵力10万人以上を集結させ、隣国との大規模な紛争にエスカレートする懸念が強まった。プーチン政権の表向きの説明は「軍事演習」だが、それを隠れみのに2014年にウクライナに軍事介入したことは記憶に新しい。国境付近でロシア軍のプレゼンスを高めて緊張状態に持ち込み、相手の先制攻撃を誘発して「反撃」に踏み切る戦術は、2008年のジョージア(グルジア)紛争で証明済みだ。
日本も人ごとではなく、先進7カ国(G7)外相は4月12日、ウクライナ情勢を「深く懸念する」としてロシアを批判する声明を出した。ロシア軍の規模は7年前のウクライナ危機後で最大に膨れ上がり、いわば「第2次ウクライナ危機」の様相を帯びた。バイデン米大統領が「唯一の競争相手」の中国に対処する中、その隙を突くようにロシアは独自の動きを見せている。プーチン大統領はなぜ今、緊張を高めたのか。その狙いは何なのか。
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米露首脳会談により冷戦突入、最悪なら…
こうした状況の激化をよそに米国はロシアとの首脳会談も想定しているという。もしも開催されるならば、バイデンがG7やNATOで欧州を訪問するタイミングが有力視されている。当然その近くには日本の菅首相もいることが想定され、この場で話し合われる内容によっては一気に冷戦期を想起させる事態に陥る可能性がある。中国の軍事活動も活発化するかもしれない。
米露首脳会談、6月で調整 電話協議でバイデン大統領から提案
4/25(日) 22:34配信 毎日新聞
ロシアのウシャコフ大統領補佐官は25日放映の国営テレビのインタビューで、プーチン露大統領とバイデン米大統領の直接会談が6月に行われる方向で調整されていることを明らかにした。タス通信が報じた。ただ、最終決定については「多くの要因にかかっている」とし、具体的な日付や会談場所は明かさなかった。
実現すれば、1月のバイデン大統領就任後で初の米露首脳会談となる。ウシャコフ氏は「(会談に向けた)シグナルはある」とし、具体的な日付の提案も受けていることを明かした。一方で「事務レベルの協議はまだ行われていない」とも付け加えた。
米露両首脳は4月13日に電話で協議し、バイデン氏が第三国での直接会談を提案。19日にはサリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と露安全保障会議のパトルシェフ書記が電話で協議し、首脳会談に向けた調整を進めることで一致していた。バイデン氏は6月に主要7カ国(G7)や北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議に出席するため、ロンドンとブリュッセルを訪問する予定で、欧州歴訪に合わせて日程を調整している可能性がある。
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米国には中国とロシアの双方を同時に相手にする力はない。だがロシア単独であれば米国の方が勝る。経済的に米国に依存する中国を牽制しつつロシアに最大限の圧力をかけるのが米民主党政権のやり方だが、ここに来て一気に正念場を迎えることになる。G7諸国とNATO諸国の結束力を深められるかが肝要だ。ダークホースのトルコがどう動くかにも注目する必要がある。