明洞にある化粧品ロードショップは昼どきにもかかわらず閑散としていた。ペ・チョンウォン記者
2000年代初期、ソウル明洞(ミョンドン)や江南(カンナム)駅など主要商圏を掌握していた化粧品ロードショップが存廃危機を迎えて新事業に目を転じている。中国のTHAAD(高高度ミサイル防衛)報復に続いて新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)の直撃を受けて化粧品以外の領域に活路を見出そうとしている。
27日、公正取引委員会加盟事業情報提供システムによると、化粧品ロードショップの全盛期をリードしていたABLE C&Cのブランド「MISSHA(ミシャ)」は昨年164店舗を閉めたことに続き、今年1~3月にも30店舗を追加で閉店した。現在店舗数は約400カ所で10年前(約800カ所)と比べると半減した。桃の形のユニークなハンドクリーム容器で人気を呼んだTONYMOLY(トニーモリー)の店舗数は2019年517カ所から昨年452カ所に減った。
大企業のロードショップ状況もこれと大きく違わない。アモーレパシフィックグループのinnisfree(イニスフリー)は店舗数が2019年920カ所から昨年656カ所に減った。ETUDE HOUSE(エチュード・ハウス)は2018年393カ所から2019年275カ所へ100カ所以上減り、現在ホームページに紹介されているのは164カ所だ。LG生活健康のTHE FACE SHOP(ザ・フェイスショップ)は2019年598カ所から昨年463カ所に減少した。
◆ペット用品・カフェ・健康機能食品分野へ進出…「脱化粧品」
これに対し、ロードショップは「脱化粧品」領域に事業を拡張して突破口を見出している。トニーモリーは先月韓国最大の単味飼料(原料飼料)メーカー「オーシャン」を買収した。オーシャンは飼料やおやつなどプレミアムペットフードや衛生用品を製造・流通する会社だ。トニーモリーはオーシャン買収を通じて国内だけでなく海外ペットフード事業進出まで狙っている。オーシャンは2019年からペット用おやつを輸出しているが、現在の米国食品医薬処(FDA)登録を完了してカナダの会社と了解覚書(MOU)を締結した。トニーモリーは、化粧品とペットフードの主要購入者が20~40代女性であるという共通点を通じてシナジー効果を出すという戦略だ。
エイブルC&Cは今年1月、ソウル鍾路区仁寺洞(チョンノグ・インサドン)の店舗を閉店しながら「熊女の神殿」というカフェを開いた。店舗内の外部は洞窟のような雰囲気を作り、ヨモギを原料にした飲み物を販売している。ヨモギを取り入れた代表商品「ミシャレボリューション/タイム AM トリートメント エッセンス」などを広報するためだ。ユニークなコンセプトの空間のおかげでカフェオープン4カ月でインスタグラム掲示物が1000件を越えるなど人気を呼んでいる。
化粧品と方向性が似ているインナービューティー(体内健康)領域に進出する場合もある。CLIO(クリオ)やperipera(ペリペラ)などカラー化粧品の強者に挙げられるクリオは先月開かれた株主総会で、事業目的に「飲食品および健康機能食品の製造・流通・販売」を追加した。すでにクリオは昨年9月に健康機能食品の製造および販売を主要事業とする子会社クリオライフケアを設立し、インナービューティーへの事業多角化を準備してきた。今年コラーゲン原料の健康機能食品の商品を初公開する計画だ。
◆場品製造1位のAI専門家招聘
ロードショップブランドを顧客としていた化粧品メーカーも新たな事業発掘に乗り出しているのは同じだ。国内化粧品の開発・設計製造(ODM)1位のコスマックス(Cosmax)は再生可能エネルギー事業と人工知能(AI)基盤ソリューション、プラットフォーム開発を事業目的に追加した。今年初めにAI専門家を新任社長として迎え、化粧品開発過程をデジタル化し、グローバルカスタマーはもちろん化粧品開発に関心のあるインフルエンサーまであわせるオーダーメード型プラットフォームを構築する計画だ。
ハナ金融投資のパク・ジョンデ研究員は「現在の化粧品業界は限定された市場に対してオンライン・免税店・逆輸入・ワンブランドショップとマルチブランドショップ、H&B(ヘルス&ビューティー)が互いに競争している状況」としながら「互いに利益を奪い取わないといけないゼロサム構造から抜け出して新たな成長戦略を模索しなくてはならない時」と助言した。