(CNN) アフガニスタン駐留米軍が今年9月11日までに予定する完全撤収をにらみ、米国防総省が米軍と協力し通訳などを務めたアフガン人数千人規模の避難計画の検討に着手したことが30日までにわかった。
4人のバイデン政権当局者が明らかにした。検討は初期段階だが、米軍の撤退で反政府勢力タリバーンの報復を受けることを防ぐ狙いがある。
ホワイトハウスによる緊急避難計画の作成の要請はないが、ベトナム戦争の二の舞いを危惧する議員や外部団体が米軍が去る前に無事に退去させるよう強く迫っているという。
政権当局者は内密には米軍の引き揚げは7月に完了する可能性に言及。一方で、アフガン治安部隊や民間人へのタリバーンの攻撃はここ数週間増え、米国入国のビザ(査証)発給を待つアフガン人が殺害される事例も出ている。
命を賭けてまで米軍に尽くしたアフガン人にビザ供与を早める選択肢も考慮する。米国務省によると、米国への特別移民ビザを申請した人数は約1万8000人だという。
ただ、これらのビザ審査を米軍撤退前に終えるのは不可能との懸念もある。ビザを発給する該当者の審査には近年、500日以上要するという。
避難計画の検討の経緯に通じる政権当局者によると、バイデン政権の決定に備え、アフガン管轄の米中央軍も対応を準備する必要に迫られる。
避難計画は非常に複雑な要因が絡む作戦となり、段階的な実施への期待があると指摘。輸送する人数、必要な航空機の機数、入国ビザの入手まで米国以外に設ける臨時の滞在先への移送などの調整が求められる。新型コロナウイルス対策がこれに絡むともした。
米軍退去が続いた場合、この避難作業を進める上でタリバーンに首都カブールの国際空港や主要な飛行場を掌握させないことも優先課題と主張した。