(CNN) 米ジョージア州アトランタのエモリー大学医学校が、今から60年あまり前、人種を理由に入学を許可しなかった男性に正式に謝罪した。
この男性、マリオン・ジェラルド・フードさんは、奴隷制廃止を記念する行事の一環として17日に同大に招かれ、講演を行った。
フードさんは講演の中で、医学に興味を持ってエモリー大学に出願した経緯を回想。当時自身が通っていた大学の卒業式でエモリー大学の教授が名誉学位を授与されたことをきっかけに、出願を思い立ったと振り返った。
1959年、エモリー大学医学校に願主を提出したフードさんだが、それから1週間もたたないうちに、断りの手紙が届いたという。
同大によると、手紙は当時の入学担当局長の名で、「申し訳ありませんが、私たちにはニグロ人種の方の入学を検討する権限がありません」と記されていた。
入学金の5ドルは戻ってきたが、「私の経歴を見てもらえたのかどうかさえ分からない」とフードさんは話す。
それでもあきらめることはなく、最終的にシカゴにあるロヨラ大学医学校に入学して産婦人科を専攻した。
「人生にはハードルがたくさんある」「けれどそこにハードルがあるのなら、それをよけたり克服したりする道がきっとある」とフードさんは力を込めた。
エモリー大学が人種差別を撤廃したのは1962年。この年、人種差別を撤廃した学校に対する課税免除を禁じたジョージア州の州法に対してエモリー大学が異議を唱えた裁判で、州最高裁が同大の主張を認めていた。その翌年にはハミルトン・ホルムズさんが黒人として初めて医学校への入学を認められた。
同大の創設者はほとんどが奴隷制度の支持者で、大学名は、奴隷を保有していたメリーランド州のジョン・エモリー司教に由来する。