文在寅大統領が28日に青瓦台で拡大経済閣僚会議を主宰し「年間成長率が当初目標の3.2%を超え4%を超過するだろう」と明らかにした。左は洪楠基経済副首相。[写真 青瓦台写真記者団]
「カード使用額増加分の一部を還元して消費を回復させる。半導体、バッテリー、ワクチンのような戦略産業分野支援を増やす。新型コロナウイルスの余波で被害を受けた小商工人や青年に対する支援を継続する。その結果今年の経済成長率4.2%を達成する」。
韓国政府は28日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領の主宰で開いた拡大経済閣僚会議でこうした内容の下半期経済政策方向を確定した。適時にワクチン接種を拡大することで景気回復がさらに弾みをつけられるようにする内容だ。
輸出より振るわない内需を生かす対策が下半期経済政策方向の核心だ。クレジットカードを4-6月期の月平均使用額より3%以上多く使った場合には、使用額増加分の10%をキャッシュバックする「共生消費支援金」が代表的だ。支給限度は1人当たり月最大10万ウォンで総額30万ウォンだ。
新型コロナウイルスで中断したスポーツ、宿泊、観光、映画、展示、公演などの分野で消費クーポンを追加で発行する。オンライン・オフライン割引行事であるコリア・セール・フェスタの期間中に地域愛商品券発行量を3倍水準に増やし、オンヌリ商品券割引率は2倍に引き上げる。
防疫模範国と相互に入国者隔離を免除するトラベル・バブルも7月の開始を目標に推進する。
企業振興に向けた対策もまとめた。半導体、バッテリー、ワクチンを3大国家戦略技術に定め、研究開発や新規設備投資時の税制支援などに2兆ウォン以上を投じる。国内に戻るUターン企業に対する法人税減免期間を1年から2年に増やす。中小・中堅企業に輸出運賃の20%をバウチャー形式で支援する内容も含まれた。新型コロナウイルスで被害を受けた小商工人の損失補償を法制化し、1%台の低金利貸付を拡大するなど社会的弱者を支援するための努力も継続することにした。
青年世代の財産形成とマイホーム調達に向けた支援策も設けられた。最低賃金水準の賃金で働く青年が毎月10万ウォンを貯蓄する場合には政府から追加で10万ウォンを支援する。政府与党と青瓦台(チョンワデ、大統領府)はこうした方式で3年間に総額720万ウォンの資金を貯められる貯蓄口座を来月発表する予定だ。今年末に終了する予定だった中小企業就業青年への住宅資金貸付の運営期限も2023年まで延長する。賃貸時の保証金2億ウォン以下の住宅に最大1億ウォンを貸付金利年1.2%の固定金利で貸し付ける制度だ。4月7日の補選・再選挙後で惨敗した政府がいまになって20~30代の歓心を買うための対策を出したとの分析が出ている。
経済政策方向を踏み台として政府が提示した成長率目標値4.2%は既存の目標値3.2%より1ポイント高い。目標通りに成長するならば2010年の6.5%以降で初めて4%を超える。これに先立ち経済協力開発機構(OECD)は今年の韓国経済成長率を3.8%、アジア開発銀行(ADB)は3.5%をそれぞれ提示した。このほか消費者物価上昇率予想値は既存の1.1%から1.8%に、就業者数増加幅は15万人から25万人に上方修正した。
文大統領は「大幅の超過税収こそ拡張財政の好循環効果であり景気回復の確実な兆候」「韓国版ニューディールがポストコロナ時代をリードする正しい方向であることが確認された」など、これまで財政投入を基に推進してきた経済政策に対し肯定的な評価をした。その上で「いまこそ能力と競争という市場至上主義の論理を警戒し、共生と包容に政策の重点を置く時」と話した。拡張財政を通じて不平等の拡大を防ぐいわゆる包容的成長政策を継続する意向を明確にしたものと解釈される。
だが今回の経済政策方向の「実弾」は30兆ウォンを超えると予想される今年2度目の追加補正予算案から出る。漢城(ハンソン)大学経済学科のキム・サンボン教授は「半導体産業の好調で不安定な経済ファンダメンタルズが隠されているのに状況を楽観した政府が景気回復期であるほど投入比の効果が落ちる追加補正予算編成ばかり繰り返している。財政を投入して作った雇用の代わりに規制を緩和して企業が作る『良質の雇用』が支えなければ健全な景気反騰は期待しにくい」と指摘した。
財政政策が年内の基準金利引き上げを予告した韓国銀行とかみ合わないという議論も大きくなっている。一方ではお金をかき集めるが、一方は災害支援金などで金融を緩めているということだ。これに対し洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相は「財政・通貨政策は常に同じ方向に進むのではない。経済状況に合わせて処方しながら政策手段間の調和をしっかり調整していくのも重要な政策領域」と話した。