ワシントン(CNN) 米国防総省は6日、トランプ前政権下の2019年にマイクロソフトが受注した100億ドル(約1兆1000億円)に及ぶクラウドコンピューティングの契約を解除すると発表した。同契約をめぐっては、受注を競ったアマゾンが訴訟を起こしていた。
この「JEDI」と呼ばれる契約は、マイクロソフトが軍事データや人工知能を含む技術のためのクラウドストレージのシステムを10年間にわたり構築することを予定していた。
マイクロソフトはアマゾンに競り勝って受注したが、多くの専門家がアマゾンの方が有利と見ていたため物議をかもした。アマゾンの「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」は業界の雄と広く受け止められている。
アマゾンはこの決定を不服として連邦請求裁判所に訴えを提起。当時のトランプ大統領がアマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)と同氏の所有する米紙ワシントン・ポストを嫌っていることが原因であり、政治的な思惑によるものだと主張した。
昨年3月には、国防総省は決定の見直しを進める意向を示していた。
国防総省は契約解除の理由として、「要件の進展、クラウド保護の増大、産業の前進」を挙げ、JEDIが「ニーズを満たさなくなった」と述べた。
同省は新たに「JWCC」と呼ばれる契約を予定しており、マイクロソフトやアマゾン、要件を満たす他のサービス提供業者からの提案を受け付けるとしている。
マイクロソフトは6日にブログで、国防総省の解除理由に理解を示す一方で、同社の技術は契約に最もかなったものだったと言及。「国防総省は何年にも及ぶ可能性のある法廷闘争を続けるか、新たな道を見つけるかで難しい選択を迫られていた」との見方を示した。
AWSも国防総省の決定に同意するとの声明を発表。JEDIの契約決定については「政府の調達にふさわしくない外部の影響力の結果によるものだった」との認識を示した。