(CNN) 米イエール大学などの研究者グループは11日までに、新型コロナウイルスワクチンの恩恵で米国内で数十万人規模の命が救われ、100万人以上の入院を防いだとの推定数字を盛り込んだ新たな研究結果を報告した。
研究では、新型コロナの実際の感染件数、入院者数や犠牲者数をワクチンがなかった場合に発生しただろう感染件数などを盛り込んだ予測モデルと比較した。研究の対象期間は主に、米国でワクチン接種が始まった昨年12月半ばから今年6月末までとした。
研究には、医療制度改革の関連団体である米コモンウェルス・ファンドも加わった。
これによると、ワクチンがないのなら新型コロナでさらに約27万9000人が今年6月末までに死亡していたと推定。新規の入院者は最多で125万人増えていたと予想した。
さらに、ワクチン接種のペースが現状より半分程度の水準となっていた場合、約12万1000人が新たに死亡し、入院者は45万人以上上積みされていたとも推測した。
ホワイトハウスのジェフ・ザイエンツ新型コロナ対策調整官は、今回の研究結果についてワクチン接種の努力の重要性を強力に示す材料と評価。米政府の戦略が効果を上げ、米国民の命と生計のさらなる犠牲を大幅に防いだことを物語るとも主張した。
同大学の研究者らによる予測モデルは、新たなウイルス変異株の拡散や感染力などの要因も加味して作成。ワクチンの有効性の比率、日常生活での接触を伴う行動パターン、重症化をもたらす特定の年齢層のリスク要因なども含めた。
米疾病対策センター(CDC)によると、ワクチン接種を完全に済ませた米国民は総人口比で約48%、人数にして約1億5600万人。ただ、1日あたりの接種件数は過去1週間の平均で約43万2000人となり、今年4月中旬のピーク時から激減している。