「母に失礼をしたら…」 容疑者、別の病院で度々抗議 埼玉立てこもり


「母に失礼をしたら…」 容疑者、別の病院で度々抗議 埼玉立てこもり

立てこもりがあった容疑者宅の周辺を調べる捜査員ら。家の前には大人用おむつが散乱していた=埼玉県ふじみ野市で2022年1月28日午前8時57分、梅村直承撮影

【写真】捜査車両に乗った容疑者とみられる人物

 事件は、渡辺容疑者が27日夜から医師の鈴木純一さん(44)を人質にして自宅に立てこもった。埼玉県警が約11時間後に家に突入したものの、鈴木さんは散弾銃で胸の辺りを撃たれており、搬送先の病院で死亡が確認された。

 県警によると、鈴木さんは92歳になる渡辺容疑者の母親を診療し、26日に死亡確認をしていた。27日は鈴木さんが呼び出される形で渡辺容疑者の自宅を訪れ、事件に巻き込まれたとみられる。

 「お母さんのことになると感情の歯止めがきかず、度々医師やスタッフにくってかかる人でした」。渡辺容疑者の母親が2年前まで10年以上通った病院の関係者は容疑者をそう振り返る。

 渡辺容疑者は当時、母親に付き添って来院し、診察の待合で「うちの母親を(先に待つ他の患者より)先に診ろ」などと求め、職員が断ると大声で怒鳴り散らすことが度々あった。当時、母親に大きな持病はなかったが、体の衰えが進んでいたという。

 数年前に母親の肺を検査した際、渡辺容疑者はステロイド系の薬を処方するよう要求。医師から「そこまでの症状は出ていないから、ステロイドは使わない方が良いですよ」と伝えられると、「専門医なのに何も分かっていない」などと書いた長文の抗議文を提出した。胃カメラを使う検査では担当者の変更を迫ったこともあった。

 この病院関係者は「職員に大変強い口調で接し、他の患者さんにも迷惑が掛かるので注意したこともあった。『うちの母親に失礼をしたら絶対許さない』とよく言っていた」と振り返る。2年ほど前に現在の民家に引っ越したのを境に、この病院に母親を連れてくることはなくなった。関係者は事件が起きた理由について「渡辺容疑者には特に気を付けて接していた。母親を亡くし、いよいよ気持ちのやり場をなくして鈴木先生に矛先を向けたのかもしれない」とみている。



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