
県警が貸し出す通話録音機(右)。電話機に接続すると、着信時に自動音声が流れるようになる(県防災新館で)
電話詐欺の被害を未然に防ごうと山梨県警が、電話をかけてきた相手に「会話を録音する」と警告して犯人を撃退する自動通話録音機の貸し出しを始めて半年がたった。利用者からは「迷惑電話が一切なくなり、安心感があった」などと効果を実感する声が寄せられており、県警は今後も普及を図る考えだ。
県警は昨年、電話詐欺の対策として「犯人と話す機会をなくすこと」に重点を置いた。85台の自動通話録音機を購入し、昨年6月以降、65~95歳の74人の自宅に設置した。
録音機を接続した固定電話に着信があると、自動で「振り込め詐欺などの犯罪被害防止のため、会話内容が自動録音されます」という音声が流れる。詐欺グループのメンバーは録音されることを避けようと電話を切るため、被害を未然に防げる仕組みだ。
県警によると、昨年、録音機を設置したのは、詐欺被害に遭いやすい一人暮らしの高齢者の自宅が中心だが、これまでに被害は出ておらず、利用者からは「強引なセールスや迷惑な電話がかかってこなくなった」と好評だという。
県警は設置から1年後に録音機を回収し、警告音声の間に電話が切れた「撃退件数」を集計する予定で、希望があれば再設置する。録音機の普及を図るため希望者を募集することも検討している。
県警生活安全企画課の担当者は「一件でも被害を減らせるよう、今後も録音機を普及させていきたい。家族で今一度、電話詐欺の対策について考えてほしい」と話している。