連合会長が自民幹部と極秘会談 野党合流を連合系議員が呼びかけの中


連合会長が自民幹部と極秘会談 野党合流を連合系議員が呼びかけの中

(写真:TBS系(JNN)

2月17日、立憲民主党や国民民主党に所属する国会議員28人が、「連合出身議員政治懇談会」を立ち上げた。

参加したのは連合の組織内議員、つまり労働組合出身の議員ばかり。連合の推薦や支援を受けているだけの議員は含まれない。組織内議員が意見交換、親睦を深めることが目的とされている。

野党を横断し約30人も集まったことで、様々な憶測も呼んだ。そうした疑念を打ち消すかのように、設立総会で発起人の一人である国民民主党の小林正夫参院議員が念を押した。

「この懇談会は、あくまでも党レベルの連携とは別でありまして・・・」

しかし、続いてあいさつに立った立憲民主党の難波奨二参院議員が、和やかなムードを吹き飛ばす。

「連合出身の我々が複数の政党に分裂しているということは、極めて不自然」
「新しい政治勢力の結集に向けて、その中心となって潮流を作っていく、そういう気概を持った会になることを切望するものでございます」

報道陣の衆目のなか、難波氏は涙ぐみながら訴える。触発されたように発言を求める議員が相次いだ。

「バラバラでやってて、本当に働く仲間のことができるのか」(無所属・柳田稔参院議員)

「それぞれの主張を言っている場合ではないというのが私の強い思いであります」(立民・逢坂誠二衆院議員)

立民と国民の再合流を求める発言が相次ぎ、出席者には「本気で政局にするつもりか」と戸惑いが広がった。

■「このままでは維新が野党第一党に」

夏の参院選が近づくにつれ、組織内議員たちは危機感を強めている。立憲民主党は党勢を立て直すきっかけを掴めないまま。国民民主党も政党支持率が低迷したままで、両党とも連合の組織内候補が参院選でどれほど当選できるか、悲観的な見方が圧倒的だ。

こうした現状に、あるベテラン議員が「ずっと温めていた構想」を動かし始めた。それが今回の懇談会だ。そして、2月17日に設立総会を開いた。この日は、連合が中央執行委員会で参院選の基本方針を決めた日だ。その基本方針には支援政党が書かれていない。連合の内部で、立民支持の産別と国民支持の産別で折り合いが付かず、立民、国民は「連携」の対象とされた。これ以上の踏み込んだ表現を書けば、「連合が分裂してしまう」と連合幹部は嘆息する。

出身元の団体が、所属する政党を「支持」も「支援」も明記せず、一方で自民党とのやり取りが増えていると報じられる。こうした連合の姿に、組織内議員はこう嘆く。

「とにかく内輪の論理ばかりの連合に気付かせたい。自分の会社、自分の産業だけがどう残ればいいのかと考えるだけでは、すべての労働者のためにはならない」
「こんなことでは次の参院選で立民は議席を落として、さらに3年後には、維新に抜かれて参議院でも野党第2党になる」「お互いの置かれた状況を理解しなければいけない。連合にもそこをわかってほしい」

■国民幹部は不快感

この懇談会に、立憲民主党はおおよそ好意的だ。ある議員は「ここから統一名簿につながらないだろうか」との期待感を示した。

一方、立民との共闘に距離を置く国民民主党幹部は「合流なんて、ありえない。立民と合流したいと思っている議員なんて、うちの組織内議員にはいない」と突き放す。永田町では、この動きが野党合流につながると見る向きは少ない。連合OBも、この懇談会が政局につながる可能性は「立民側の願望だ」と冷静な見方だ。

ただ、組織内議員たちは「連合内の融和という、切なる願いが叶えられれば良い」との意見では同じ考えでいる。

■そして連合の芳野会長は・・・

連合はこの懇談会について、表向き「本当に議員が自分たちで開いた会。私たちは関係ない」との姿勢だ。

そして、2月17日の芳野会長は多忙だった。連合の中央執行委員会で参院選方針を決め、記者会見で「自民党との連携は」と問われ、「ありません」と即答した。直後にこの懇談会の設立総会で「胸が非常に熱くなっております」と挨拶し、その足である会合のため、都内の日本料理店へと向かった。

相手は自民党の小渕優子・組織運動本部長。連合は芳野会長と小渕氏との会合を認めた上で「連合の窓口である組織運動本部長との不定期な懇談です」とコメントした。連合幹部は「岸田政権になって、小渕さんが窓口のトップになったから、その顔合わせだ。何もやましいことはない」と強調する。だがJNNが報じた直後、立民の複数の議員から「あの設立総会の直後とは。ひどい」「立憲と国民と連携したいって言った直後に、考えられない」などの声が挙がった。

芳野会長をめぐっては、野党共闘をめぐる発言が度々話題となり、立民側からは批判も絶えない。今回の会合は火に油を注いだと言ってもよいタイミングだった。

一方の自民党は、今年の運動方針の原案をまとめたと報じられた。「連合など労働組合との政策懇談を積極的に進める」と明記し、連合との関係構築に積極的に取り組むという。

連合をめぐる様々な動き。果たしてその行方は。

TBSテレビ政治部野党担当

(19日14:30)



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