「もはや鉄道ファンしか乗ってない」 廃線危機の留萌本線、沿線自治体が打ち出した最後の抵抗とは

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路線廃止の議論と地元の反応

「もはや鉄道ファンしか乗ってない」 廃線危機の留萌本線、沿線自治体が打ち出した最後の抵抗とは

山中を走る留萌本線のキハ54系(画像:写真AC)

と、筆者は思わずつぶやいていた。1日の列車の本数は上下それぞれ7本。9時4分発の次は12時18分。その次は16時17分――。それが、北海道北部に位置する留萌本線・留萌駅で見た光景だった。

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 留萌本線は、北海道深川市の深川駅と留萌市の留萌駅を結ぶJR北海道の鉄道路線だ。「本線」の文字が付く名称からは、かつてのにぎわいを感じる。しかし現在は衰退。大きな駅舎は列車の本数と不釣り合いだ。

 駅内は薄暗く、コインロッカーすらない。唯一、立ち食いそば屋だけが輝いている。券売機はなく、代金は現金手渡し。名物は600円のにしんそばで、ここだけは人の姿がある。筆者はようやくやってきた深川行きの列車に乗ったが、乗客は10人もいなかった。

 それゆえ路線廃止の議論も起きているが、特徴がひとつある。それは

「地元自治体でも反対の声がない」

ことだ。

 廃止が議論されると、沿線自治体は大抵反対を表明し、自治体の支援で存続を模索することが多い。しかし、留萌本線の場合はその声がほとんどなく、どういう形で廃止するかが議論となっているのだ。

 留萌本線では、2016年に留萌~増毛までの区間が部分廃止になっている。このとき、北海道北部をカバーする沿岸バス(北海道羽幌町)の路線バスが代替交通機関となった。バスが運行しない深夜と早朝は、自治体が乗り合いタクシーの輸送経費を10年間支援することが決められた。

 平たく言えば

「鉄道を存続するより、乗り合いタクシーの料金を払った方が安くつく」

というわけだ。このことからも、留萌本線がいかに利用されていなかったかが分かるだろう。もちろん、路線としての留萌本線自体がとても魅力的なのは言うまでもない。

半数を超える廃線容認

「もはや鉄道ファンしか乗ってない」 廃線危機の留萌本線、沿線自治体が打ち出した最後の抵抗とは

深川市、秩父別町、沼田町、留萌市の位置関係(画像:(C)Google)

 JR北海道が公表している最新(2020年)データによれば、2019年度の営業収益は500万円で、営業費用は13億8000万円となっている。その数、なんと収益の276倍。膨大な赤字路線なのだ。

 留萌市の市民団体「留萌本線にまだ乗り隊?」が2020年9月に発表したアンケートの結果によると、廃線容認は

・56.5%

と半数を超えている。

 JR北海道が最初に全面廃止を提案したのは2016年で、肝心の留萌市はすぐに賛意を示している。ところが沿線自治体には温度差があった。深川~恵比島間の沿線自治体である沼田町や秩父別町では一部存続を求めたのだ。

 そもそも、なぜ留萌市は賛意を示したのか。それは存続した場合、留萌市をはじめとする沿線自治体が年間6億円もの負担を強いられるからだ。対して、沼田町・深川市ではいまだ通学利用者が多く、バス転換は利便性を下げるとしてには難色を示している。廃止か存続か――立場が真っ二つに分かれた結果、沿線自治体も対立している。

 JR北海道は2020年10月に開催された「JR留萌本線沿線自治体会議」の席上で、全線を廃止したいという意志を依然と示した。このことで沿線自治体の対立も深刻になり、2021年2月には、会議の議長を務めていた留萌市が協議から離れてしまった。

 それまで、沿線自治体では共同で一部存続を前提にJR北海道と協議をする方針を固めていた。留萌市はその合意を撤回し、

「留萌市の区間は廃止して構わないので、一部存続協議にも関わらない」

という態度を表明したのである。

 その後、2021年10月には深川、秩父別、沼田の1市2町が協議を実施。この席では改めて部分存続を求めることが再確認されている。

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