休職者の補充もできず…「病休も取得しづらい空気」教員不足、現場の悲痛な声


休職者の補充もできず…「病休も取得しづらい空気」教員不足、現場の悲痛な声

南筑後教育事務所の管内でも小中学校の教員不足は悩みの種だ

 「子どもの様子をつかむのが難しい。給食の時間や昼休みにつながりを持つようにしているのですが…」。筑後地区のある小学校の教務主任の表情は暗い。

 この学校では、クラス担任の教員2人が相次いで産育休を取得したため、教頭と教務主任がそれぞれ代役を務める。年度途中で臨時講師を採用したが、フルタイムでは働けず、教頭と教務主任は午後の授業とホームルームを受け持つ。児童との接点は限られる。

 要員不足には地域差もあるようだ。県教職員組合浮羽三井支部の調査(2月末時点)では、小郡市の小学教員は計8人足りなかったが、うきは市はおおむね充足していたという。

 文科省の全国実態調査によると、不足が生じた小学校の割合(昨年4月の始業日時点)は福岡県18・1%、大分県4・4%で、大分の方が余裕はある。うきは市には隣の大分県日田市から通勤する教員もいるため、小郡市との違いが表れたと、同支部の高良信児支部長は分析する。

 22年度も厳しい状況は続く。県は、小学校で退職者を上回る660人の採用を予定したが、教員採用試験の受験者725人のうち合格者は582人。さらに、2月時点で進路変更などを理由に64人が辞退したため、予定の採用人数よりも約140人足りない。

 文科省の調査では、教員不足の原因の一つとして、産育休取得者や病休者の増加が指摘された。一方で、臨時講師の担い手が足りず、休職者の補充ができない状況も明らかになった。

 教員同士のつながりを生かし、学校現場が人材を探すケースもある。小郡市の小学教員は、教員免許を持つ知人やOBに声を掛けた。しかし、教科の大半を教えることへの負担感、教員免許を更新していないことを理由に断られたという。

 教育現場からは悲痛な声が聞こえてくる。筑後地区のある小学教員は「産休や病休を取得しづらい空気になっている」と強調。限られた人員で学校運営できるよう教員1人当たり業務量を減らすよう訴える。

 こうした状況を、保護者も不安げに見つめる。八女市の小学校でPTA役員を務める男性(43)は「子ども一人一人に対して目が行き届かなくなるのはよくない。教師を志す人が減れば、教育の質も下がってしまう」と不満を漏らす。

 働き方改革は教育現場にも求められており、その実現のためにも要員問題の解決は急務と言える。



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