参院選公示日を目前に控え、日本維新の会の党勢低迷が続いている。先日の東京都議選での候補者全員落選は、その現状を象徴するものだ。党内からは、この低迷の背景に大阪・関西万博や、維新が推薦した斎藤元彦兵庫県知事に関する問題があるとの声が上がっている。
東京都議選での衝撃と内部の嘆き
6月22日投開票の東京都議選では、維新は現職1人を含む候補者6人全てが落選した。4年前の都議選で初めて1議席を獲得した勢いは完全に失われている。ある維新の国会議員A氏は、「昨年の衆院選では東京の比例で50万票を超え2議席を得ただけに、都議選への期待は大きかった。それがゼロとは、まさに奈落の底に突き落とされた気分だ」と嘆き、さらに「維新の支持が上がらないのは、万博と斎藤知事の問題が原因だ」と指摘する。
兵庫県知事選で、当時候補者だった斎藤元彦氏を応援する日本維新の会代表 吉村洋文 大阪府知事
吉村知事の選挙応援での「万博」アピール
党代表である吉村洋文大阪府知事は、都議選期間中に東京で候補者の応援演説を行った。しかし、地元大阪から離れている影響か、足を止めて聞き入る人は少なく、陣営スタッフが懸命に呼びかけても反応は乏しかった。演説中に聴衆から「スキャンダルはどうなった?」と、維新議員の不祥事に関するヤジが飛ぶ場面もあった。吉村氏は演説にあまり力が入っていない様子で、最後は「お時間があれば、絶対に損はさせませんので、大阪に来ていただきたい。万博にお越しください」と、選挙応援の場にもかかわらず万博のPRに時間を割いていた。前述の国会議員A氏は、こうした様子を見て「吉村知事は都議選でも万博を熱心に宣伝していたが、東京で万博に大きな関心を持つ人は少ない。聴衆の中には『何を言っているのだろう』と不思議そうな顔をする人もいた」と語る。
日本維新の会代表を務める吉村洋文 大阪府知事の肖像。党勢低迷の渦中にいるリーダー。
維新に影を落とす大阪・関西万博の問題点
大阪・関西万博は、維新が発案し、誘致から実現まで党が主導的な役割を果たしてきた事業だ。しかし、この万博でも党と同様に様々な問題が噴出している。海外パビリオンの建設を巡っては、工事代金の未払いが相次ぎ発覚し、すでに施工業者が民事訴訟を起こすケースも出ている。また、6月4日には万博の目玉の一つである水上ショーを行うウォータープラザから、指針値を超えるレジオネラ属菌が検出され、水上ショーが一時休止に追い込まれた。都議選で維新陣営のスタッフとして活動したB氏は、こうした状況について「万博が赤字になれば、税金で国民が負担する可能性もある。東京では、大阪の失敗をなぜ国民が税金でかぶるんだ、という根強い不信感があると感じました」と述べている。
東京都議選での全敗、そして大阪・関西万博や兵庫県知事に関する問題は、現在の日本維新の会の党勢低迷に大きく影響を与えているようだ。特に、万博の費用負担に関する国民の懸念は、今後も維新にとって支持拡大の「足かせ」となる可能性を秘めている。
出典: https://news.yahoo.co.jp/articles/9ba65210f221ec387d5db04daca0b50126c9a1a6