ウクライナから日本へ避難した心境を語るイリーナ・ヤボルスカさん(右端)と、ギャリーナ・イバノバさん(左端、大津市で)=里見研撮影
ロシアの軍事侵攻から逃れ、娘夫婦の住む滋賀県彦根市に避難したウクライナ人女性2人が3月31日、三日月知事を県公館に訪問した。県が用意した宿泊施設に滞在しており「おもてなしの精神で手厚いサポートをしてもらい、感謝している。ウクライナと日本の関係がより強くなってほしい」と述べた。
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2人はイリーナ・ヤボルスカさん(50)とその母ギャリーナ・イバノバさん(80)。戦火にさらされた東部ハルキウ(ハリコフ)から西部リビウへ、定員の3倍の避難民で埋まった電車で20時間以上かけて脱出。ポーランドの難民キャンプや知人のもとで10日間ほど過ごしたが、働く先が見つからないなど生活の基盤を築くめどが立たず、イリーナさんの娘のカテリーナさん(31)を頼って来日する決断をしたという。
出迎えた三日月知事から「大変な道のりでしたね」と言葉をかけられると、2人は手を合わせ、お礼を言った。イリーナさんは「なんとかたどり着くことができました」と語り、苦難の道中を思い出して涙ぐむ場面も。イリーナさんは「日本に来るのが夢だったが、こんな形になるとは」と複雑な心境を吐露する一方、「車から見た近江八幡や大津の街並みが大変美しかった」と印象を語った。
ギャリーナさんは、空港で書類申請や荷物運びを助けてくれた「サトウさん」という日本人に触れ「感動した。力添えがなければ来日できなかったかも」と感謝の意を示した。
ハルキウにはイリーナさんの夫ローマンさん(52)がとどまる。インターネットで毎日連絡を取り合っており、カテリーナさんは「ミサイルや発砲音が続く厳しい状況だと聞いており、心配だ」と思いやった。