どうすれば勉強を効果的に習慣化できるのでしょうか。これは受験を控えた学生やその保護者にとって、共通の切実な課題です。国語に特化したオンライン個別指導「ヨミサマ。」を運営するOverfocus代表の神田直樹氏は、全日制高校や塾に通うことなく、完全独学で東京大学に合格した経験を持ちます。「自分のやる気なんて1ミリも信じられない」と考えていた神田氏が、いかにして勉強を習慣化したのか、そして彼が「効果的」だと感じた勉強法の具体的な秘訣に迫ります。
「やる気」に頼らず「仕組み」を構築する重要性
ドイツのミュンヘンで日本人学校に通っていた神田氏は、中学3年生の12月に「東大に首席で合格しよう」と決意しました。非効率な学習を強制されることを避けるため、通信制高校への進学を選択し、塾には通わず独学を貫く道を選びました。
当初は高いモチベーションに満ち溢れていましたが、いつしかゲームに熱中し、「10日に1日、60分間でも勉強ができれば良い方」という状態に陥ってしまいます。高校1年生の12月に受けた全国模試では偏差値が45まで落ち込み、「自分のやる気なんて1ミリも信じられない」と痛感するようになりました。この経験から神田氏は、やる気はスマートフォンやゲームなどの誘惑によっていかに簡単に崩れてしまうかを学びました。そして、「勉強を習慣化するには、最悪のコンディションの日でも勉強できるような“仕組み”を作らなければならない」という結論に至ったのです。
東大に独学で合格し、勉強習慣化の極意を語るOverfocus代表の神田直樹氏
勉強する「場所」を決める効果的な勉強法
神田氏は、自分に合った勉強法を見つけるため、さまざまなアプローチを試行錯誤し、取捨選択を繰り返しました。その中で特に効果が高いと感じ、また「ヨミサマ。」の東大生講師たちも実践している人が多かったのが、勉強する「時間」ではなく「場所」を決める勉強法だったと言います。
神田氏は基本的に図書館で勉強していました。しかし、自宅から図書館まではバスと電車を乗り継いで片道40分かかるため、図書館へ行くこと自体のハードルを下げる必要がありました。そこで、彼は2つのルールを設定しました。1つ目は「バス停まで行けば、図書館に行きたくない日は家に帰っていい」というもの。2つ目は「図書館に着いても、気乗りしない日は勉強せず家に帰っていい」というものでした。
ハードルを極限まで下げて「継続」を促す
実際に、神田氏は10回に1回はバス停まで行った時点で、さらに1回は図書館に着いた時点で家に帰ってきてしまうことがあったと語ります。それでも、残りの8回は図書館で集中して勉強することができたのです。この経験から神田氏は、「まずは勉強を始めるまでのハードルを徹底的に下げることが、勉強を習慣化する第一歩になる」と強調しています。自らのモチベーションに頼りきらず、環境やルールを整えることで、勉強は着実に習慣となるのです。
独学で東大に合格した神田氏の秘訣は、やる気に左右されない勉強習慣を築くための「仕組み」作りにありました。特に「場所」を起点とし、勉強を始めるハードルを極限まで下げるアプローチは、多くの受験生や学習者にとって効果的なヒントとなるでしょう。自らの意志力だけに頼るのではなく、計画的に環境を整えることが、学習習慣を定着させる鍵となります。
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