北方領土
ロシアの極東開発を統括するトルトネフ副首相は25日、北方領土について、独自の開発や投資をさらに進め、「ロシアのものにする」との意向を示した。日本が令和4年版の外交青書で、北方領土は「ロシアに不法占拠されている」との表現を復活させたことへの反発とみられる。
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ロシアはこれまでに北方領土を経済特区に指定し、ウクライナ侵攻で欧米諸国とともに対露制裁を発動した日本への報復として、日露平和条約交渉の中断も表明している。日本との関係悪化を口実に、北方領土問題に終止符を打とうとするロシアの思惑が改めて鮮明になった。
極東ハバロフスク地方への出張時の発言をタス通信が伝えた。
トルトネフ氏は記者団に対し、日本政府が22日に発表した外交青書でロシアのウクライナ侵攻を強く批判し、北方領土についてロシアの「不法占拠」と明記したことに言及し、「ロシアの返答は単純だ」と指摘。その上で、北方領土を対象としたクルーズ船の就航や投資計画の策定、観光開発を通じて「クリール諸島(北方領土と千島列島の露側呼称)をロシアのものにする」と強調した。
トルトネフ氏は「これは私だけではなく、ロシア国民全体の自然な反応だろう」とも語った。
ロシアは2020年の憲法改正で領土割譲を原則禁止し、ウクライナ侵攻後の今年3月には北方領土を経済特区に指定してロシア主導で開発を進める方針を表明。日本を「非友好国」に指定し、同月下旬には北方領土問題を含む日本との平和条約締結交渉の中断を発表した。