北、自民の参院選公約に神経とがらす 圧力明記に「二面性」と非難


首相官邸に入る安倍首相=18日

 北朝鮮が夏の参院選で自民党が掲げる公約に神経をとがらせている。国営の朝鮮中央通信は20日までに、公約に北朝鮮の核・ミサイル開発阻止や拉致被害者全員の即時帰国に向けた「最大限の圧力強化」を盛り込んだことに反発。安倍晋三首相が「条件をつけず」に日朝首脳会談を目指すと表明したことを念頭に「言行の不一致は逆に、さらに大きな疑念を呼び起こしている」と論評で批判した。

 自民党は7日に発表した公約で、外交を6つの重要項目の第1の柱とした。北朝鮮については「核・ミサイルの完全な放棄を迫るとともに、最も重要な拉致被害者全員の帰国を目指す」とした。

 一方、重要項目を細かく説明した「政策集」は「制裁措置の厳格な実施とさらなる制裁の検討を行うなど国際社会と結束して圧力を最大限に高め、関係国政府・議会および国連に対する連携や働きかけを強化する」と、「圧力」を強調した。

 岸田文雄政調会長は「政府・与党として訴えてきた方針を踏襲している」と説明するが、朝鮮中央通信は論評で「われわれに対する悪意的で挑発的な内容を明記」と主張。「二面性の極致であり、両面術策は通用しない」と非難した。「地域情勢の流れから完全に押し出された哀れな境遇で『地球儀を俯瞰(ふかん)する外交』をするという自民党の公約が履行可能か問わざるを得ない」とも論じた。

 19日付朝鮮労働党機関紙、労働新聞も論評で自民党の公約について「もてなしを受けるためには行動を正さなければならない」とクギを刺した。自民党の政策集の内容にまで言及する北朝鮮について、政府高官は「どれだけ日本の動向に関心があるか、ということの証左だ」と話す。

 北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会の報道官は2日、無条件での日朝首脳会談を目指す首相について「わが国に天下の悪事を働いておきながら、面の皮がクマの足の裏のように厚い」と答えた。首相に対しても言葉は激しいが、最新の論評では直接的な批判は見られない。(ソウル 桜井紀雄、長嶋雅子)



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