
ゼレンスキー大統領、複数の街の奪還を発表 「良いニュース」と称賛
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は7日、ロシアに占領されていたいくつかの街を奪還したと発表し、「良いニュース」だと述べた。
ここ数日、ウクライナ軍が東部ハルキウ地域でロシア軍を破ったといううわさが流れていたが、ウクライナ当局からの発表はなかった。
ゼレンスキー大統領は、奪還した具体的な場所については、「今はまだその時ではない」として明らかにしなかった。
他方、アメリカ当局は、ウクライナがロシア軍に対して「ゆっくりだが意味のある進展」を見せているとの見解を示した。
ゼレンスキー氏は毎晩恒例のビデオ演説の中で、ウクライナ軍の勝利のうわさについて「良いニュース」があると述べた。
また、「すべて市民が、我々の兵士を誇りに思うだろう」として、活躍した部隊の名前を挙げ、その勇敢さをたたえた。
一方で、「ウクライナ国旗が戻ってきた場所を名指しする時ではない」と述べ、具体的な場所の言明は避けた。
ウクライナはここ数週間、作戦情報の保秘を厳格化しており、東部と南部で行われているとされる反撃について詳細をほとんど明かしていない。
ウクライナ軍はこのところ、南東部ハルキウで反撃を開始しており、ロシア軍が侵攻開始以来、占領を続けている東部ドネツク地方へ向かっている。
ロシア軍の重要な供給地点であるイジュームから数十キロの地点までウクライナ軍が迫っているとの報道もある。
アメリカのコリン・H・カール国防次官は国内で出席したイベントで、一部地域ではウクライナ軍が優勢だと示唆した。
ロイター通信は、カール国防次官が「まだ初期段階だ。ウクライナはゆっくりだが有意義な進展を見せていると思う。今後どうなるか注目している」と述べたと報じた。
「確実に言えることは、(ウクライナ)南部では現在、事態がロシア側よりウクライナ側に有利に動いているということだ」
しかし状況はなお不安定だ。
ウクライナ参謀本部は7日の発表で、ハルキウとドネツクの両州で「全てのロシア軍の攻撃を撃退した」が、双方はなお爆撃や空爆を行っており、十数カ所に被害が出ていると述べた。
ゼレンスキー大統領はまた、ウクライナの来年度予算について、戦時下の国にふさわしく、1兆フリブナ(約3兆9000億円)超を国防費に充てると明らかにした。
一方で、年金などの社会保障費は維持すると約束した。
その上で、「国防や経済成長、国民の社会・文化保障を助けない重要度が低い出費は、できる限り抑える必要がある」と述べた。
■ロシアへの強制移送に懸念
アメリカと国連の当局者からは、戦争が続く中でウクライナ国内にとどまる市民の行方について懸念の声が出ている。
国連のイルゼ・ブランズ・ケフリス人権担当事務次長補は7日、「保護者のいない子供たちが、ロシア占領地やロシア連邦へ強制移送されているという信頼性のある疑惑がある」と述べた。
国連当局は、ロシアが子供たちにロシアの市民権を与える「簡易化された手続き」を設け、ロシア人家族の養子としていると懸念している。
ケフリス氏は、こうした動きが戦争をめぐる国際法「ジュネーヴ条約」に違反すると指摘した。
アメリカ政府もこの日、ウクライナからロシアへの強制移送について懸念を表明した。ただ、対象は成人だという。
米国務省は、ロシア政府が「濾過(ろか)作戦」と呼ばれる計画の一環で、ロシア軍の占領地に強制移送するウクライナ人のリストを作っていると非難した。
ヴェダント・パテル報道官は、「『濾過』とは、ロシア政府が脅威になり得ると決定したウクライナ市民を強制的に移動または失踪させる大規模な作戦を示す、人間性を奪う言葉だ」と指摘。「濾過の被害者には服従するしか選択肢がなく、そうしなければひどい扱いを受けることになる」と述べた。
パテル報道官によると、「濾過作戦」は顔認証や電話追跡といった技術が駆使された大規模かつ先進的な作戦だという。また、アメリカ政府はこの作戦とロシア政府関係者を結ぶ証拠を持っていると明らかにした。
これに対し、ロシアのヴァシリー・ネベンジア国連大使は、ロシアへ向かうウクライナ国民は登録手続きをしているだけだと述べた。
(英語記事 Zelensky hails ‘good news’ as settlements recaptured)
(c) BBC News