ロシア国旗
ウクライナに侵略したロシアは、東部ハリコフ州からの事実上の敗走を認めず、「作戦は当初目標の達成まで継続される」(ペスコフ露大統領報道官)と強気の姿勢を崩していない。露軍が再度の攻勢に向け、増援部隊の派遣を準備しているとの情報もある。プーチン政権は露軍の苦戦で国内に反戦機運や政権批判が強まる事態を警戒しているとみられるが、戦局を覆す方策に乏しいのが実情だ。
【写真】ハリコフ州の奪還地域で、粉々に破壊された車の近くに立つウクライナ兵
露国防省はハリコフ州からの露軍部隊の撤退を「再編成」と表現。連日の発表でも、同州などでウクライナ軍に多大な損害を与えていると主張している。国営テレビもハリコフ州からの撤退をほとんど伝えていない。政権側が国内世論を意識しているのは明白だ。
ただ、米シンクタンク「戦争研究所」は11日、露軍事ブロガーの間で作戦失敗への批判が強まっていると指摘。侵攻に部隊を派遣している露南部チェチェン共和国のカディロフ首長も作戦の破綻に言及するなど、政権側の情報統制には限界も見え始めた。
露軍部隊の士気が低下し、戦闘拒否も相次いでいるとされる中、ロシアは部隊を増強し、勢いの回復を図る構えだ。ウクライナ国防省情報総局は12日、露軍が極東地域で高額の報酬を提示して志願兵を募集し、ウクライナに派遣しようとしているとの諜報結果を公表した。ただ、錬度や士気の低い急造の部隊では、不利に傾きつつある戦局を覆すのは困難だとの見方が強い。