国外脱出するロシア人女性たち(2022年9月30日)。
あるロシア人女性医師は、自分はウクライナでの戦争に召集されることを恐れて国外脱出をしたとInsiderに語った。
【全画像をみる】夫と離れて単身ドイツへ脱出… ロシア人女性医師が語った、いつ自分も召集されるか分からない恐怖
医学部で履修した必修科目のせいで、女性は自動的に予備役の士官として登録されているのだという。
看護師経験のあるロシア人女性も、軍で働くより刑務所に行く方がマシだとInsiderに話している。
部分動員令の発令を受け、ロシアから国外脱出しているのは男性だけではない。
バルバラさんが自分も軍に召集されるかもしれないと恐怖を感じるようになったのは、サンクトペテルブルクで医師として働いている時のことだった。
どんな状況でも軍で働くつもりはなかったバルバラさんは、バッグに荷物を詰め、夫に別れを告げて急いでロシアを離れた。
「仕事のため、しばらくドイツに移住することを計画していましたが、部分動員令のせいでこれを早めなければなりませんでした」とバルバラさんはInsiderに語った。
ロシアでは医師の多くは女性
バルバラさんは夫とともに、11月にドイツへ移り住む予定だった。ドイツの病院で仕事が決まり、夫妻は新しい生活を2人で始めることを楽しみにしていた。
ところがロシアのプーチン大統領が9月21日に軍の部分動員令に署名したと明らかにし、軍務経験のある予備役30万人がすぐに召集されることになり、バルバラさんは不安を感じ始めた。
「自分が戦争に加わることは考えられませんでした。あれはわたしたちの戦争ではありません」
軍の部分動員令は当初、男性の予備役を対象としたものだと捉えられていたが、ロシア軍の担当部局の広報官はロシアの国営メディアに対し、医療関係者を含む特定の専門性を持つ女性も召集される可能性があると語った。
ロシアでは70万人以上いる医師のうち、約70%が女性だ。
Memorial Human Rights Centerの弁護士タミラ・イマノワ(Tamilla Imanova)氏は、「たくさんの」女性医師がすでに召集されているだろうとロシアの独立系メディア『メドゥーザ(Meduza)』に語った。
10月に入ってロシアのショイグ国防相は、女性は召集されていないと報道陣に説明した。バルバラさんはこの時すでにロシアを離れていたが、これまでの報道を考えると、ショイグ国防相の説明は疑わしいと話している。