CMの過剰演出「指ペロ」が波紋 ケンタッキー、綾鷹に批判の声

回転寿司店などでの迷惑行為として「ペロペロ」が社会問題となったのは2023年頃のこと。それらとは状況は異なるものの、最近の食品関連CMにおける同様の「ペロ」行為が、視聴者から不快感や衛生面での懸念を招き、インターネット上で波紋を広げています。特に、ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)と日本コカ・コーラの緑茶ブランド「綾鷹」のCMに対し、批判的な意見が多く見られます。

「シズル感」を追求するケンタッキーのCMが物議

広告代理店関係者によると、飲食業界のCMでは食欲や購買意欲を刺激する「シズル感」を強調する演出が古くから行われています。これは製品の魅力を伝えるための手段であり、売り上げや話題性につながることもありますが、行き過ぎた演出は逆効果を生むこともあります。

現在テレビやYouTubeで公開されているケンタッキーの「創業記念パック『THE SIZZLE』篇」CMは、そのタイトル通り「シズル感」を重視した内容です。CMでは、若い女性が夜に自宅で一人、ケンタッキーを食べる様子が描かれています。「今宵、私は野性に返る」というナレーションに合わせて、女性はチキンを手づかみで貪るように食べ続けます。この際、舌や手が脂で光り、衣などが付着する様子が映し出されます。さらに、手についた衣を指で舐め取る(指ペロ)シーンが、女性の口元にクローズアップされて何度も挿入されます。チキンを噛む咀嚼音も強調されています。

このCMの公開後、ネット上では「食べ方が汚い」「咀嚼音が不快」「小汚ない仕草を流行らせたいのか」といった嫌悪や批判の声が多数寄せられています。

宇多田ヒカルさん出演の綾鷹CMにも同様の指摘

同様の「指ペロ」シーンは、歌手の宇多田ヒカルさんが出演する「綾鷹」のCMでも見られます。このCMは、宇多田さんが素手でおにぎりを握るという内容です。宇多田さんは、指先についた米粒をペロッと舐める仕草をしています。広告関係者は、これが食欲を喚起させる演出意図があるのか疑問を呈しつつも、「なぜかペロが続いている」と指摘しています。

この綾鷹CMについても、視聴者からは「指についた米粒を食べるシーンが必要か?」「指舐めてそのまま握って、不潔だと感じた」「食中毒への注意喚起が多い季節に、なぜこのようなシーンを流すのか」といった批判的なコメントがネットに投稿されています。中には「商品名は覚えたが、買わない」という強い拒否反応を示す声もあります。

宇多田ヒカルさんが綾鷹のCMでおにぎりを握る際に、指についた米粒を舐める様子宇多田ヒカルさんが綾鷹のCMでおにぎりを握る際に、指についた米粒を舐める様子

批判の声が上がっている現状について、両社に問い合わせが行われました。ケンタッキーの広報室からは、「生活者の皆様の受け止め方は、様々なものがあるものと理解しております。いただきました様々なご意見も貴重なご意見と受け止め、現時点での対応予定はございませんが、今後の活動に活かしてまいりたいと考えております」との回答がありました。一方、日本コカ・コーラからは、期日までに回答がありませんでした。

何事も「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」ということわざがあるように、過剰な演出は消費者離れを招く可能性も示唆されています。

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