ロシア軍、ヘルソンに増派で守りを強化か ウクライナが見方を変更


ロシア軍、ヘルソンに増派で守りを強化か ウクライナが見方を変更

ロシア軍、ヘルソンに増派で守りを強化か ウクライナが見方を変更

ウクライナの情報当局トップは24日、同国がロシアからの奪還を進めている南部の要衝ヘルソン市について、ロシアが守り抜こうとして兵士を増派している可能性があると述べた。

ウクライナはこれまで、ヘルソン市からロシア部隊が撤退する可能性があるとしていた。

ヘルソン市は、ロシアがウクライナ侵攻の初期に制圧した。しかしこのところ、ウクライナがドニプロ川に沿って同市へと進軍しており、ロシアへの圧力を強めている。

ヘルソン市のロシア当局は、市民数千人に避難を命じている。

ウクライナのキリロ・ブダノフ情報総局長は、ウクライナ紙ウクライナ・プラウダのウェブサイトで、こうしたロシアの動きを「情報操作」と断じた。そして、ロシアは「すべてが失われたという錯覚を生み出そうとしている」と述べた。

■ロシアが「防衛戦」の準備か

ブダノフ氏はまた、ロシア軍が兵士を追加派遣しており、道路で「防衛戦」の準備を進めているとした。市民を避難させていることについては、ヘルソン市がウクライナに陥落した場合に面目を保つための見せかけの行為だと述べた。

ウクライナはこれまで、ロシア軍がヘルソン市から撤退しているとしてきた。その見解を今回、変えたことになる。ブダノフ氏は、「向こうは今、撤退の準備をしてはいない」と述べた。

BBCは、双方の軍の正確な地上での動きを検証できていない。ロシア軍が守りを固めているとの見方が出てきたことで、今後数週間のうちに激しい戦闘が繰り広げられる可能性が高まっている。

ウクライナ関連では、その他に以下の動きがあった。

・放射性物質の入った「汚い爆弾」(ダーティーボム)をウクライナが使うかもしれないとロシアが主張したことをめぐり、ウクライナとその同盟国は、ロシアの主張を一蹴した。

・ドイツのオラフ・ショルツ首相は、ウクライナが冬を前に破損インフラの再建を進めるのを、緊急支援すると約束した。

・ルーマニアのヴァシレ・ディンク国防相は24日、辞表を提出した。ウクライナ戦争をめぐって、クラウス・ヨハニス大統領と意見が異なることを理由に挙げた。大統領は国防相について、ロシアとの交渉を示唆したとして批判していた。

・ウクライナは、ロシアが穀物取引に関する両国間の合意を妨害し、165隻の船の検査を「人為的に遅らせた」と非難した。

・ロシア国営放送RTは、看板司会者の1人のアントン・クラソフスキー氏を停職処分にした。同氏はウクライナの子どもたちを焼いたり溺れさせたりするよう呼びかけていた。

■ヘルソンをめぐる動き

ウクライナは10月初めからヘルソン州に進軍している。軍によると、これまでに州内の約90集落を奪還しており、住民の数では合計1万2000人に上る。

ロシアが任命したヘルソン州当局者らは24日、民兵部隊の創設を発表。男性には参加する「機会」があるとした。

しかし、オデーサのウクライナ軍広報担当セルヒイ・ブラチュク氏は、この動きについて、住民男性をロシア軍に徴兵するための偽装だと述べた。

ロシアにとって、ヘルソンでの敗北は大きな後退となる。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナ東部と南部の4つの州について、「住民投票」の結果だとして併合を宣言している。ヘルソン州はその1つで、ヘルソン市は州都。

ヘルソン市はまた、ロシアが2月に侵攻を開始してから攻略した、唯一の州都でもある。ロシアにとっては、ウクライナを流れるドニプロ川西岸の唯一の足がかりとなっている。

ヘルソン州は、2014年にロシアに併合されたクリミアへの玄関口となっている。

(英語記事 Russia reinforcing occupied southern city – Ukraine)

(c) BBC News



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