従来の防空システムとは異なるカウンタードローンシステムとは?

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ウクライナ侵攻で多用される無人機のサイズは様々で、比較的大型で中高度~高高度を飛行するタイプは有人機と同じ対処方法で無力化できるが、DJI製のドローンや固定翼の小型無人機はサイズが小さく低空を飛行するため、何十kmも離れた空域を飛ぶ目標をレーダーで検出することが難しい。

従来の防空システムとは異なるカウンタードローンシステムとは?

出典:Capricorn4049 / CC BY-SA 4.0

低空を飛行する小型無人機との戦いを米ディフェンスメディアは「低空の戦い」と呼んでおり、この領域での勝敗が視覚的でリアルタイムな戦場認識力に直結するため、戦術用途の無人機(前線の兵士が扱うサイズの小型無人機)導入やカウンタードローンシステム(C-UAS)の整備に各国が取り組んでいる。

このC-UASについて取り上げる日本メディアは少ないので今回はこれに紹介していく。

兵士が携帯するカウンタードローンシステム

C-UASに決まった形はなく脅威に対処する距離や場所によって様々な方法があり、最も原始的な方法は無人機が使用する通信プロトコルに直接妨害を行う小銃タイプのC-UASで、これを使用するウクライナ軍は「商用向けのドローンや無人機を99%無力化できる」と述べているがミリタリー仕様の無人機には効果が低く、目視で標的に照準を合わせる必要と照射する指向性の妨害範囲が数百mと短いのが欠点だ。

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ほぼ同じ作動範囲で無人機を物理的に無力化できるのがイスラエル製の照準機能付きスコープ「SMASH(スマッシュ)」で、これを取り付けた小銃が簡易のC-UASに変身して効果が高いと各国で評判になっており、米陸軍と米海兵隊も少数のSMASHを導入してテストを繰り返していたが、米陸軍はC-sUAS戦略の一貫としてSMASHの改良型「SMASH2000L」の取得に乗り出している。

元々SMASHは無人機を迎撃することを想定していなかったが、改良型のSMASH2000Lは空中目標に対するより正確な照準を提供できようになっているのが特徴で、開発元のスマートシューター社も公式にC-UASへの対応を強調している。

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SMASHを取り付けた小銃をコンソールで操作するタイプも登場しており、もはや簡易のRWSと呼んでいいのかもしれない。

固定拠点を保護するカウンタードローンシステム

固定の拠点を無人機の脅威から守るC-UASはAESAレーダーと光学センサーを装備している場合が殆どで、飛行高度が低く飛行速度も遅いドローンを自然界の何かと区別するための特別なアルゴリズムを備えており、イスラエル製「Drone Dome」はRCS値0.002㎡(Phantom4 ProのRCS値が0.01㎡未満らしい)の無人機を3.5km離れた地点で検出可能で、レーザーやジャミングで目標を無力化することができるらしい。

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ロシア、アラブ首長国連邦、カタール、アフガニスタン、パキスタン、マレーシア、バングラデシュ、スリランカから引き合いが殺到(実際にロシアとパキスタンが発注)しているトルコ製「KALKA」は最大5km(無人機のサイズは不明)で、韓国製のC-UASは8km先でPhantom4 Proを検出することが出来るらしいが、仮にウクライナの前線距離2,450kmをDrone Domeでカバーするには700基必要だ。

勿論、3.5kmという理論値を点と点で結んだだけなので実用に耐えるC-UAS網を構築するには数千基は必要で、飛行速度が早くドローンよりも大きな固定翼の無人機を「数kmという作動範囲」で無力化できるのかはよく分かっていない。

機械化部隊の頭上を保護するカウンタードローンシステム

無人機に対応したAESAレーダーと光学センサーを車載したのがC-UAS対応の近接防空システムで、最も新しいものは米陸軍が調達を開始したIM-SHORADだ。

従来の防空システムとは異なるカウンタードローンシステムとは?

出典:United States Army IM-SHORAD

IM-SHORADは機械化部隊の頭上を保護するための自走式対空装備だが、固定式のAESAレーダーを4基搭載しているため常時360度の警戒と、L3ハリス製EO/IR「MX-GCS」による視覚的な警戒が可能で、接近してくる無人機を検出すれば7.62mm機銃、30mmチェーンガン、スティンガー(最大射程4km)、ロングボウ・ヘルファイア(最大射程8km)で無力化することが出来る。

上記で紹介したのは飽くまでDJI製ドローンのような小型無人機に対応したC-UASの代表例で、イラン製のShahed-136をSMASHを装着した小銃で撃ち落とせるのかは別問題だし、C-UASに対応したIM-SHORADがTB2とサシで勝負すれば手も足も出ないので注意してほしい。

従来の防空システムとは異なるカウンタードローンシステムとは?

出典:IMA Media 演習に登場したShahed-136

一口にカウンタードローンシステムと言っても「何に対応しているのか」を良く見なければならず、効果が実証された決定的なC-UASはまだ存在しない。

米陸軍、対UAV対策として近距離防空システム「IM-SHORAD」調達を決定
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※アイキャッチ画像の出典:オランダ陸軍

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