人通りが閑散としたヘルソン市内(10月7日撮影、女性会計士提供)
ロシアがウクライナ東・南部4州を一方的に併合してから30日で1か月となる。南部ヘルソン州在住の50歳代の女性会計士が、SNSを通じた本紙の取材に、露軍がウクライナ寄りの住民を拷問していると証言した。(ワルシャワ 上地洋実)
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女性によると、住民が最も恐れるのが「地下室送り」という。露軍がウクライナ寄りの住民を連行し、殴打や電気ショックなどの拷問を加えていることから、使われるようになった言葉だ。女性は「あらゆる手段で人間としての尊厳を奪おうとしている」と非難した。
また「併合」後、街中では親露派の住民が我が物顔で振る舞うようになった。「ロシアにとり重要な人物には護衛がついている」とも述べ、住民の反発が強いことを示した。
商店は大半が閉まり、営業している店舗は5%程度にとどまるという。ロシア産の野菜が出回るが、ウクライナ産に比べ質が悪く割高だ。ウォッカやたばこもロシア産が売られるようになった。
女性は、「ロシア産の食料は買いたくない。備蓄でしのいでいる。自家製の酒も出回っている。ソ連崩壊時にも見なかった光景だ」と語った。「併合」後、非占領地域への出入りが一層厳しく制限され、女性の娘は避難を断念したという。