韓国・天安市の大学病院と住民対立:騒音・光害で「発狂寸前」と抗議、その背景とは

韓国忠清南道天安市で、隣接する大学病院とマンション住民の間で騒音や光害を巡る深刻な対立が起きている。マンション住民が病院に向けて「命を救う病院?24時間の騒音と光害に発狂しそうだ!お前らもここで暮らしてみろ!」といった強い言葉の抗議横断幕を掲げ、大きな物議を醸している。この問題は、住民の生活環境と公共施設のあり方を問うものとして注目を集めている。

抗議横断幕に込められた住民の訴え

韓国JTBCの番組「事件班長」が7月11日に報じた内容によると、住民たちは合計4枚の横断幕を掲げ、「昼夜を問わぬサイレンと換気装置の騒音で窓も開けられない」「昼は太陽の反射光、夜は照明の光で生活できない」「病院は困ったときに助けを求める場所ではなかったのか。協力を求めても知らんふり。今やこれは戦争だ」などと記されていた。この横断幕は2025年6月初旬から設置されており、住民らは同年5月に竣工した病院の新館建物を問題視している。新館建設以降、彼らは日照権の侵害、光害、換気装置からの騒音被害、交通混雑といった複数の問題に苦しんでいると主張している。

韓国忠清南道天安市で、隣接する大学病院に向けてマンション住民が掲げた騒音と光害への抗議横断幕。韓国忠清南道天安市で、隣接する大学病院に向けてマンション住民が掲げた騒音と光害への抗議横断幕。

「病院が近くて便利」という宣伝とネットの反応

この一件を通報した人物は、マンションの販売時に「病院が近くて便利」と宣伝されていたことに苦言を呈した。実際にこのマンションは、近隣に大学病院があることを利点として売り出されており、新館とマンションの竣工時期も近接していた。病院側も2018年にはすでに新築計画を知らせる横断幕を掲示していたため、入居者も病院の存在を十分承知のうえで引っ越してきたのではないかという指摘も出ている。この問題がネット上で広まると、マンション住民に対する批判が殺到。「消防署も病院も学校も嫌って、何もなければ“不便だから作れ”って言うだろう」といった皮肉なコメントが多数寄せられた。

住民側の反論と苦悩、そして病院の対応

これに対し、住民側は「新館がオープンする前まではまったく問題なかった」と反論している。ある入居者は「救急車のサイレン音は理解している。ただ、換気装置のファン音と光害が24時間続くとは思わなかった」と語り、「事情を知らない人たちが我々を“集団エゴ”と批判するのがつらい。みんな家を売って出て行きたがっている」と苦しい胸の内を明かした。マンションの入居者代表は、救急車のサイレン音にまで苦情を出したというのは誤解であり、本当に問題なのは換気装置の騒音と光害だと強調している。病院側は「関係法規に則って建設し開業した。現在は住民の不便を減らすため追加措置を講じている」と説明している。

まとめ

韓国・天安市で発生した大学病院とマンション住民の間の対立は、地域の生活環境と公共施設の調和という現代社会の課題を浮き彫りにしています。住民の訴え、ネットでの批判、そして病院側の対応が交錯する中で、今後どのような解決策が見出されるのか、その動向が注目されます。


参考文献

  • KOREA WAVE/AFPBB News (Yahoo!ニュース)