中国のiPhone工場から従業員脱出、職場での隔離逃れようと
新型コロナウイルス感染者が確認され、職場での集団隔離を余儀なくされた中国のiPhone工場の従業員がこのほど、工場から脱出した。オンライン上では脱出の様子を捉えた動画が共有されている。
中国では感染者が確認された集合住宅や店舗などが強制的に集団隔離されるなど、市民や企業は習近平国家主席による厳格な「ゼロCOVID」政策に取り組み続けている。習氏は第20回中国共産党大会で、同政策を直ちに緩和するつもりはないことを示唆した。
こうした中、集団隔離から脱出したのは、河南省鄭州市にある米アップル最大のiPhone組み立て工場の従業員。オンライン上で共有されている動画には、iPhoneを受託生産する鴻海科技集団(フォックスコン)が所有する工場で、外のフェンスを10人ほどが飛び越える様子が映っている。
フォックスコン(本社:台湾・新北)は同工場に数十万人の従業員を抱えているが、感染者数については公式発表していない。
ロイター通信によると、鄭州市は先週、167件の局所的な感染があったと報告。前の週の97件から増加した。厳しい隔離措置の影響で、人口約1000万人の同市は部分的に封鎖された。
フォックスコンは30日、従業員が工場を離れるのを止めるつもりはないと主張した。しかし、脱出した従業員は公共交通機関を使って捕まるのを避けるため、故郷までの長い道のりを徒歩で移動している。
シアという名字の労働者(22)は、自分と同僚たちが留め置かれていた「寮の中は完全にカオスな状態だった」と英紙フィナンシャル・タイムズに語った。
そして、「プラスチック製や金属製のフェンスを飛び越えて敷地外に出た」と付け加えた。
従業員たちは、工場の周辺地域が数日間封鎖され、陽性者は毎日ウイルス検査と隔離を続け、感染拡大を食い止めようとしているとも主張した。
フォックスコンは19日、同工場での食堂での食事提供を全て禁止し、従業員に自室で食事をとるよう求めると発表した。
また、最新モデルiPhone14の増産のため「通常の生産」を維持していると記者団に説明した。
同社は30日に声明で、「従業員の生活の利便性と満足度の向上のため、食堂を再開することに政府が同意した」と述べた。
家に戻りたいという従業員については、「本日から政府と協力し、従業員に秩序ある帰宅サービスを提供するために人員と車両を整備していく」とした。
BBCはフォックスコンにコメントを求めている。
(英語記事 Apple: Chinese workers flee Covid lockdown at iPhone factory)
(c) BBC News