【令和の戦い 参院選2019】静岡 野党間の遺恨

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 徳川家康が晩年を過ごした駿府(すんぷ)城など徳川ゆかりの地が数多く点在する静岡県。JR静岡駅前には合戦の指揮で使う「采配」を握りしめる「徳川家康公像」がそびえ立つ。その家康像を背に、250年以上の太平の世の礎を築いた家康公の威光を借りるようにして徳川宗家19代目の徳川家広がマイクを握った。

 「私たちがこうして豊かな生活を享受しているのは菅直人内閣のおかげだ」

 立憲民主党から出馬する徳川は23日、街頭演説で東京電力福島第1原発事故に触れ、対応に当たった菅政権のおかげで日本が救われたと強調した。静岡が抱える浜岡原発の廃炉も訴え、消費増税中止や「アベノミクス」批判を展開した。

 徳川が静岡選挙区(改選数2)を選んだのは「先祖代々縁が深い」から。選挙カーに徳川家の家紋である「葵(あおい)の御紋」を施すなど、地の利を生かして支持拡大を狙う意図が随所ににじみ出る。地元の選対関係者は「静岡で『徳川』の知名度は抜群だ。顔立ちもゆるキャラっぽい。トップ当選を狙いたい」と鼻息は荒い。

 静岡は平成13年以降、自民党と旧民主党(旧民進党)が議席を分け合ってきた。旧民進党が分裂後初となる今回の参院選は、国民民主党参院幹事長の榛葉賀津也(しんば・かづや)に加え、立民が徳川を擁立した。自民現職の牧野京夫(たかお)が手堅く議席を得るとみられ、残る1つを旧民進系が争う。

 改選2人区は国民側が現職優先ですみ分けをしようと働きかけたが、立民は応じなかった。ささやかれるのは榛葉と立民幹事長の福山哲郎の確執だ。

 ある立民参院幹部は「2人の不仲は旧民主時代からの嫉妬だ。国対委員長など党中枢を歩んできた榛葉に対し、福山は非主流派だった」と解説する。旧民進分裂後は参院で野党第一会派争いを繰り広げ、立民が刺客を送り込む準備を進めてきたとの見方もある。

 知名度を活用した空中戦に出る徳川に対し、榛葉は組織戦で迎え撃つ。

 榛葉は連合静岡の推薦に加え、地方議員や業界団体の後押しを受けて票固めを進める。党執行部も「榛葉を失うわけにはいかない。やれることは全てやる」と議席を死守する構えだ。

 国民県連幹部は既に戦闘モードだ。「こっちは百姓の息子で、あちらは将軍様だ。江戸幕府は年貢を取っておきながら、なぜ増税に反対しているんだ」と皮肉る。一方、榛葉と徳川の支持が拮抗(きっこう)している世論調査があることを明かし「主だった支持団体は徳川についていないはずなのに、なぜ競っているのか。不気味だ」と警戒する。

 立民、国民による遺恨の様相を呈する静岡での決戦は両党の関係に影を落とす可能性もある。榛葉は25日の記者会見で、徳川をあてこするように参院選への意気込みを語った。

 「ふわっとした空気や人気投票ではなく、地に足をつけた政治を本気でやらないといけない。どの候補がいいか、しっかりと県民に選んでもらうだけだ」(広池慶一、写真も)=敬称略

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