
ロシアのプーチン大統領に近いエブゲーニー・プリゴジン氏=ロシア北西部サンクトペテルブルク郊外で2016年8月9日、AP
ロシアのプーチン大統領に近い新興財閥(オリガルヒ)のエブゲーニー・プリゴジン氏は7日、米国の選挙に関し「我々は介入してきたし、現在も介入しているし、これからも介入する」とネット交流サービス(SNS)で明らかにした。AP通信などが伝えた。プーチン氏の側近がロシアによる他国への選挙工作を認めるのは極めて異例。
プリゴジン氏は「プーチン氏の料理長」との異名を持ち、ロシアによるウクライナ侵攻で、雇い兵部隊を展開させている民間軍事会社「ワグネル」の経営にも関わっている。米国の選挙への介入を認めた上で「慎重に、正確に、我々のやり方で」などと述べたという。
ロシアによる米国の選挙への介入を巡っては、米中央情報局(CIA)などの情報機関が「米国の民主主義の弱体化と社会分断を図るためサイバー攻撃に注力している」と警戒している。
CIAは2016年大統領選について、ロシアがソーシャルメディアへの投稿や広告などを通じ、当時共和党候補だったトランプ前大統領を支援する情報を拡散し、民主党候補のクリントン元国務長官を中傷していたと断定した。拠点となった企業「インターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)」を資金面で支えたのがプリゴジン氏とされ、米当局は18年に同氏を起訴した。4年前の中間選挙でも世論工作を仕掛けたとして財務省が制裁を科している。
国務省は今年7月、IRAやプリゴジン氏について、米国の選挙介入に関連した情報に最高で1000万ドル(約14億6000万円)の報奨金の提供を発表している。【ワシントン鈴木一生】